(32)調子が狂うとは正にこの事 ページ36
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「…俺から逃げられると思ったのか」
『っ…中也……』
「絶対離さねェ」
『嫌だぁぁああ離せぇええええええ!!!』
「ざけんな!手前、今日の分の仕事終わってねえだろうが!」
あの後あっけなく中也に捕まり、現在執務室に連行されている。
鬼ごっこは得意なのに…異能を使うとは卑怯な奴め…!
執務室にある私の机上を見ると凡そ20枚は積んであろう書類が。
『そろそろ山に成るぞってか…可笑しいでしょ…』
「何がだ。手前が悪いンだろ」
『いや、さっきまでこんなじゃなかった…5、6枚だった!!』
「知らねェよ!とにかく遣れ!」
渋々机に座り、1番上の書類を手に取る。
順番的に下の書類から遣った方が良いのだろうが、面倒臭いのでそのまま書類に目を通した。
『"幹部代理及び任務について"…って、何これ。幹部代理って誰のさ』
「俺のだ」
『は?』
抑々幹部代理ってなんだ。
今までそんな言葉聞いたこともないぞ。
そんな面倒な役回されるほど私は偉くなったのか←
「明日から半年ほど留守にするからな。その間、手前が俺の代わりだ」
『はぁ?厭だよ。何で私がアンタの代わりなんか』
「地位の向上だぞ。寧ろ喜べ」
『地位向上しても身長が向上しない中也が何云ってンの』
「ああ"!!?」
嗚呼、面白い。
ソファから立ち上がる勢いで声を荒らげる中也の姿が見てて笑える。
『そんな事より、半年も何処へ行くの?』
「欧米諸国を回ってくる」
『ふーん…』
欧米諸国…色んな国を回るって事か。
お土産なんて買う暇無いかな
てか、半年って意外と長いじゃん。
その長い期間此奴の代わりを私に遣れと。
首領も随分鬼畜だよ。
『ハァ…面倒臭いなぁ…』
「…ったく、頼むぜ」
ポン、と優しく頭に置かれた手。
何が起きたか判らず、其の状態の侭パチパチと瞬きをする。
漸く状況を理解した時には既に顔が熱かった。
『ちょッッ、な、何だよ…!!』
「ハッ、手前真っ赤だぜ?何でもねェよ。じゃ、またな」
そう云うと、中也はさっさと執務室を出ていってしまった。
『っ……何彼奴…』
こうして幹部代理と成った私は、未だ1枚も減っていない書類の山を見て絶望するのだった…
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ヤマダノオロチ(プロフ) - ありがとうございます!目指せシックスパックです← 更新頑張ります! (2016年8月7日 19時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
桔梗 - 『氏ね』の一言を遠回しに言ってる、その内容で爆笑して腹筋が痛いです(これで割れるかな←) 訳:面白いです。これからも頑張ってください。 (2016年8月7日 17時) (レス) id: b2f7131e28 (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダノオロチ(プロフ) - 雪凛 さん» はじめまして!コメントありがとうございます。共感してくださって嬉しいです(笑)頑張ります! (2016年6月9日 17時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
雪凛 - はじめまして!中也いいですよねぇ!かっこいいですよねぇ!もう、いろいろやばい…←とてもおもしろいです!これからも、頑張ってください! (2016年6月9日 16時) (レス) id: ca0edcb47b (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダノオロチ(プロフ) - わたがしちゃんさん» 同士様ですか…!ありがとうございます。頑張ります! (2016年6月5日 22時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤマダノオロチ | 作成日時:2016年6月1日 0時