重力、夢中力【文豪ストレイドッグス】【中原中也】

(33)如何かしている ページ37

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部屋を出た俺の顔は熱かった。

今誰に見られても「顔赤いぞ？」と云われる自信がある。否、そんな自信要らねェよ！


ただ、何となく彼奴に触れたかった。


…何だ此れ…気持ち悪ィ……



半年、たった半年離れるだけ。

寧ろ彼の憎たらしさの塊を半年も見なくていいんだ。此れ以上無いくらい良い事の筈だろ？

今まで彼奴に会わなかった日なんて数える程しかないのだから。




良いじゃねェか…



「頼むぜ」なんてクサイ台詞…何で、俺…







「クッソ…何だよ此れ……」



顔が再熱するのを感じ、帽子を深く被った。





「あ！中原さ…如何しました？」




不覚だ。こんな所を部下に見られるとは。

あくまで平静を装って対応する。





「っ、立原か。任務の事ならAに聞け」


「そのAさんから言伝を預かって来ました…」


「言伝？わざわざ何だ」


「……」



促すと黙る立原。

彼奴の言伝なんてロクなものじゃないのは判るが、此処までされて黙られるのも気になる。



「どうせくだらねェ暴言だろ。さっさと言え」



「…怒りませんか」

「手前にはな」





「気安く触んなチビが伝染る。欧米の塵になって骨だけ帰国しろ…だそうです」


「彼奴は今何処に居る。今すぐ殺しに行くから教えろ」



そう早口で云うと更に身体を強ばらせる立原。

今の俺は殺気駄々漏れだからな。


にしても酷ェ暴言だ。『死ね』の二文字を敢えて遠廻しに云っているから余計に腹が立つ。



「…ﾁｯ、まぁいいや。俺が留守の間、彼の莫迦よろしくな」


「え？あ、はい…？お気を付けて」



背中越しに立原の言葉を聞いて、俺はその場を去った。

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