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理由 ページ31

エレンside


俺は翌日、どうしても聞きたくてAさんの部屋を訪れていた。

Aさんは紅茶を淹れてくれた。

「それで、何の用なの?」

やっぱりこっちの口調の方が可愛い。

前はかっこよかったけど。

「Aさんが記憶が戻ったことを明かさない理由です。教えてくれませんか?」

聞いちゃいけないんだろう。

でも、知りたい。

「いいよ。教えてあげる」

Aさんは意外にもこう言った。

Aさんは教えてくれた。

記憶が戻ってから思ったことを。

でも、俺は思った。

「俺に教えてる時点で、心開いてますよ?俺に」

俺がそう言うとAさんはハッとして苦笑いした。

そして唇に人指し指を当てた。

「今のなし。でも、相談相手がいると助かるから、まぁいいかな。たまに頼ってもいい?」

俺は大きく頷いた。

光栄すぎる。

それに嬉しくて、今なら死ねる。

「あと、私は表ではかなり冷たくするから、合わせてね」

そう言ってAさんは髪を結った。

いつもはおろしてるのに。

今日はポニーテールではなく、ハーフアップにしている。

そして書類をまとめる時などにかけていると思われるメガネもかけた。

「どう?近寄りがたい感じ出てる?」

それが目的だったんだ。

でも、言われてみればそうかもしれない。

俺は頷いた。

Aさんは満足そうに笑った。

そして俺の方を向いた。

「先に出て。少ししたら私も出る」

俺は部屋を出た。

食堂で食事をとっていると、ツンとした様子のAさんが現れた。

悟られないようにって言っていたけど、バレバレと言えばそうかもしれない。

でも、なんかそんなところも可愛い。

俺が一人ニヤニヤしていると、Aさんに睨まれた。

あ、そうか。

ところで、Aさんはこの先どうなるんだろう?

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作者名:カシオペア | 作成日時:2017年8月24日 15時

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