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倉岡「俺は倉岡直樹です……って、さすがに分かるよね？」
「あ、うん。分かる」
倉岡「だよね、よかった！それにしてもさ、中原とちゃんと話すの初めてだよね！」
翔「二人とも、中原にあんま変なこと聞くなよ、今日は」
興味津々の目を向ける二人から、まるで私を守るようで。
嬉しいけど、ちょっと恥ずかしい。
倉岡「心配すんなって。分かってるから」
茉奈「私だって。仲良くなりたいだけだもん」
ねーって目を合わせつつも、やっぱりニヤニヤしてる二人。
櫻井くんは「ったく……」とため息をついて、私に向けて、ごめん、と手を合わせた。
私は慌てて、ぶんぶんと首を横に振る。
何聞かれるかビクビクしてはいるけど、それと反してワクワクする気持ちも湧いてきていて。
今日のお誘い断らなくてよかったかも、ってちょっと感じてる。
そんな風に自己紹介を済ました私たちは、来た電車に乗り込んだ。
茉奈「来週は合宿なんだっけ、サッカー部」
倉岡「うん、そう」
茉奈「予選終わったばっかなのに、大変だねぇ」
倉岡「まぁ負けちゃったしな、休んでらんないよな。なぁ、櫻井」
翔「あぁ、もっと練習して、もっと上手くなんねぇと」
茉奈「ね、Aちゃんは、この間までの試合観に来た？」
「あ……はい、観ました」
茉奈「櫻井くん、大活躍しててカッコいいって思ったでしょ？」
「えっ、あ…………うん」
翔「完全に立木に誘導されてる」
櫻井くんが苦笑いする。
翔「大活躍ってほどでもないし、それで言ったら倉岡だって活躍してたから」
「え……櫻井くんほんとに大活躍してたよ」
翔「はは、ありがと。中原、前もすごいって言ってくれたけど、でもまだまだなんだよね」
立木さんに誘導されたわけじゃない、って気持ちを込めてみたけど、あまり伝わらなかったみたい。
翔「頑張んなきゃなぁ……」
独り言のように、ぽつりと呟いた櫻井くん。
「……ほんとに、カッコよかったよ」
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作者名：さくらこ | 作成日時：2019年6月23日 17時
