ねーちゃんが二十一人 ページ25
そのまま待ってると、ねーちゃんは意を決したように離れ、俺と目を合わす。
それにしても近い。 少しでも動けばねーちゃんの色んなところに当たりそうだ。
「私、一郎のことが好きなの」
「っぁ……」
あまりの衝撃と歓喜で声が出ない。
目尻に溜まっていた涙が、耐えきれないと言わんばかりに零れ出す。
ねーちゃん切なそうな涙を流しながら胸のあたりを押さえる。
「今もドキドキして、一郎を見てると、おかしくなっちゃいそうなの……」
おいおいおいおい、ちょっと待ってくれ。
「一郎の、『特別』になりたいの」
やばい、ねーちゃんめっちゃ好き。
全身を流れる血液が顔を中心に沸騰するような感覚。
「でも、そんなの、無理、だから……」
ねーちゃんの声が震える。
対して俺は『ねーちゃんが好き』という思考回路でしかない。
今ならどんな事を言われても『ねーちゃん好き』で返しちまいそう。
「一郎。 ……いっかいだけ、キス、して……?」
わ、わぁ……!
「そしたら、そしたら、明日からもお姉ちゃんとしてがんばるから……」
「ね、ねーちゃん……」
「だから、おねがい……」
断る、どころか望んでもないと思ってた展開だ。
頷くと、ねーちゃんは俺の首の後ろに腕を回し、唇を重ねる。
ちゅっと、軽いリップ音が静かに木霊する。
それを皮切りにしたように、ベッドに倒れ込む。
「ねーちゃん……、俺も、ねーちゃんのことが……」
「一郎……」
「ねーちゃん……」
ねーちゃんをぎゅっと抱き寄せようとすると、ねーちゃんはこっちをじっと見た。
腕をねーちゃんの背中に回し、髪を撫でる。
「ねえ、いつまで寝てるつもりなの? 一郎」
「っ!」
目を開けると、そこにねーちゃんはいた。
ただ、エプロンを着け、立ち上がったままこちらを見ている。
「朝ごはん出来たよー? あ、昨日のおしごと遅かったから疲れてる? ……後で食べるならラップしとこっか?」
「あ、いや、大丈夫! もう行くわ」
俺はなんつー夢を見てた。
ねーちゃんは「わかった」と緩く返事をし、部屋から出て行った。
あ、そうか。 今日はねーちゃん、帰っちまうのか。
「はぁぁぁあ……」
二重の意味でため息が出る。
取り敢えずベッドから降り、廊下に出ると味噌汁のいい香りがした。
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おりはるこん(改名)(プロフ) - ミーさん» コメ返し遅れて申し訳ないです!最近やることが多いので更新事態の優先順位が低くなってるのがすごく悔しくて…。終わりは決まってるので着いてきていただけると嬉しいです! (2018年11月29日 20時) (レス) id: ea4c86eaca (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - 最近読み始めたので、更新とても嬉しいです…!これからも頑張ってください! (2018年11月9日 20時) (携帯から) (レス) id: 750b1e0df3 (このIDを非表示/違反報告)
おりはるこん(改名)(プロフ) - ぬぬぬさん» ここだと文字数が足りないのでボードかメッセージに移行してもよろしいでしょうか?私の考察は250文字以上になってしまいそうなので…(汗) (2018年9月15日 18時) (レス) id: ea4c86eaca (このIDを非表示/違反報告)
ぬぬぬ(プロフ) - ペンは剣よりヒプノシスマイクってどういう意味だと思いますか???調べても全然分からなくて… (2018年9月15日 17時) (レス) id: 62aeac2e51 (このIDを非表示/違反報告)
おりはるこん(改名)(プロフ) - ぬぬぬさん» わかりみが深い…!久々にヒプマイを誰かと語れてスッキリしました!ぽっせもわかります!ヒプマイ沼は深いですね…! (2018年9月15日 17時) (レス) id: ea4c86eaca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おりはるこん(元鈴音) | 作者ホームページ:なし
作成日時:2018年8月26日 8時