あ、認知しなくて結構です。【花宮真】

baby＊8 ページ9

「よし、後で高尾と灰崎しばく」

「なんでオレまで！？とばっちりっすよ！」

「ぎゃはは、ザマーミロ高尾！」


「ほら4人共、お客さんが怖がってる」





はっと声の主の方に視線をやったら、

彼が接客していたらしい女性客がドン引きしていた。
思わず謝る。



私達に向かってシーというジェスチャーをしたのは氷室辰也。

フェロモンたっぷりのエレガントヤンキー(何気に気性が荒いから)の彼はフロアスタッフだ。
女性客にモテるから。


立てた人差し指を唇に当てるだけのジェスチャーにも、女性は赤面している。

ああ、これでリピーター1人追加。

女性のリピーターはほとんど氷室さん目当てだ。
その次に高尾がモテる。


やれやれまたですかといった風で
黒子がやってくる。

その目は笑っているから本気で呆れているわけではなさそうだ。




都内の路地裏にひっそりと佇む小さな喫茶店。

少し物騒だけどしっかり者のマスターと、
店員は私含め5人しかいない。


けれども

笑顔が絶えない暖かい店の雰囲気と

コーヒーの香り、

個性的な仕事仲間が私は大好きだ。

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