あ、認知しなくて結構です。【花宮真】

baby＊42 ページ43

Aがオレの元からいなくなった後もあいつに連絡を取らなかったのは、

どうせすぐに戻ってくるだろうと思っていたからだ。



1人でガキを産んで育てるのは、金銭的にも身体的にも精神的にも並大抵なことではない。

だからすぐにオレを頼ってくると想定していた。


ただ、普段はそこまで物事にこだわらない流されやすいあいつが、

たまに意見を曲げないほど頑固になるときがあることをオレは忘れていた。それに。





『(ガキができたからって嫌々一緒になるのもどうなんだ…？)』





散々アピールしてきたが、あいつがオレを好んでいない上で結婚したって意味などないのだ。虚しいだけだ。

あいつ自身がオレをどう思っているのかはっきり分からなかったから、オレは接触するのを踏み止まった。



スマホで打ち込んだあいつ宛てのメールを送信するかしないかの選択で、

オレはいつも"送信"の表示をタッチするか指をさ迷わせて、結局キャンセルを選ぶ。

その繰り返し。





『(…大体、オレに好意があったら向こうから何らかの形で接触してくるはずだ。なんでオレがこんなこと……)』





いつまで経っても連絡が来ないとイライラしていたら、突然倒れたと黒子から電話が来て。

仕事をほっぽり出して病院に駆けつけたら、高尾に喧嘩を売られて。





『Aから手引けよ。
あんたがちゃんとしないってんなら、オレがあいつと一緒にいてやる。何があっても絶対にあいつとあいつの子供を守る』





その瞬間、胸の中に滞っていた迷いが消えた。





もういい。やめだ。

グダグダあいつの都合考えて悩むのはオレらしくねぇ。
Aが望む望まないも関係ねぇわ。


今までだって本当に欲しいものはどんなに時間と労力をかけても、それが他の奴のモンでも、奪い取ってまでして手に入れるのが常だっただろう。

今更それを思い出すなんて。







『ガキできようができまいが関係ねぇ。あいつはオレのだ。異論は認めない』

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