Ｔｏｐａｚ＿2nd＿

もう一つの理由＿5 ページ27

涼介side




………静かだなぁ。

昼間の家がこんなに静かなことって、ほとんどなくて。

大ちゃんと侑李は学校と保育園。
慧くんは下にいるはず。

いつもなら何度も様子を見に来て眠りにつくまで何らかの音がするのに……



……自分のせい。

今日は体調が悪いわけでもないのに学校を休んでしまった。

行けばよかったかな……家にいても気まずいだけだし………


昨日の寝坊の原因は大ちゃんの言う通り、ゲームをして夜更かしのが一理。

たまに隠れてやってるんだけど、寝坊したのは初めて。
自分でもやっちゃったな…と反省もした。

けど………素直に謝るどころか、逆ギレして雰囲気最悪……


涼「……ゲームももういいや…」


元気な中学生がこんな時間に部屋に籠ってたら……暇だよな。

はぁ……なにしよ、っ…………


涼「……は、っ、………あぶなっ…」


急に立ち上がったせいで貧血でクラっとした。

ベッドに倒れたお陰で何処も痛くないし、音もたてていないから気付かれていないだろう。


……気づかれて騒がれる方が迷惑だし。

まあ、慧くんよりも大ちゃんが過保護なんだけど。


涼「……テスト勉強しなきゃ…」


……これが、最近の夜更かしの最大の原因。

近々あるテストに向けて毎晩勉強、その息抜きにゲームをしていた。


……そうでもしなきゃ、やってられない。

慧くんや大ちゃんには分からないだろう……まともに通えなかった小学校の分で遅れをとった俺が、中学で皆に追い付くのがどんなに大変か。

その中学だって、出席できない日も多いし……


涼「……つかれた、ぁ……」

ｺﾝｺﾝｯ


慧「……涼ちゃん、昼食作ったから気が向いたら降りてきて？」


……もうお昼か……家にいると意外と時間が過ぎるのって早い。


……こうしている間にも、皆にどんどん離されているんだ……

問題文を見ても理解できないところが多くて進まないけど、今は誰にも頼りたくない。

慧くんのことは無視して続けること数十分。
また部屋の扉がノックされた。


慧「…朝御飯も食べてないでしょ？……ここ置いておくね」


本当は有り難いことなんだけど…今の俺はそうは思えなくて。


涼「はぁ、もう……んん、…」


……うるさいな、うざいな、放っといてって言ったのに……

静かなのも気にかけられるのも嫌だって、矛盾しているしおかしい。

ずっと苛々している自分にまた苛立って………発せられていた危険信号にも気付かなかった。

もう一つの理由＿6→←もう一つの理由＿4

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す