Ｔｏｐａｚ (ページ29)

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小さな背中＿6 ページ29

慧side

………涼介は、昔から自分より回りを気にする子だった。

見ていて、そんなことまで……と思うような。

慧「………涼ちゃん……頼りないお父さんで、ごめんね」

………病院で………

涼介の目が覚めるまでの間、またやってしまった…と穏やかな寝顔を眺めながら反省する。

昨夜、部屋で倒れて気を失っていた涼介を俺は病院へ運んだ。

大貴に侑李を任せて、よく知った先生に話して一晩中涼介の側にいさせてもらった。

……いつ目が覚めても、一人にならないように。

涼「………ん、…」

慧「……涼ちゃん、分かる？」

微かに掠れた声がして、ぼんやりと開かれた瞳は何も写してはいなかったけど……呼び掛けると光が戻って。

涼「……け、ぇ…くん……」

俺、……本当は物凄く怖いんだ。

昔からお世話になっている先生と涼介がいつもの調子で話しているのを見て、心から安堵した。

信用していない訳じゃないけど……“明日には目も覚める”と言われても、現実に涼介が笑ってくれるまでは………だから…

慧「やっと二人になれたね、涼ちゃん！」

涼「……ふふっ…」

酸素マスクを邪魔そうにしている姿さえ、可愛くて。

ぎゅーっと抱き締めたいけど、熱すぎる愛で熱が上がったら大変だから我慢しよう。

家に帰ったら沢山してあげるね、最近子供たちが甘えてこなくなって寂しい慧くんが。

涼「慧くん、仕事は…？大ちゃんは学校？侑李は保育園行ったの…？」

慧「大ちゃんが侑ちゃんを送ってくれたよ。そのあとに大ちゃんは学校に行ってる…はずよ。ここに来たがってたけどね」

涼「……慧くんは仕事休んだんだ…」

慧「ううん。休みたいのは山々なんだけど…頼りにされちゃってるからね～」

って言うのは半分嘘……同僚に事情を話して急ぎのものは代わってもらい、今日はほぼ休み。
他のはあとでもなんとかなるしね。

でも、そんなことを言ったら…涼介が気にする。
きっと……どっちにしろ。

涼「……もう、大丈夫だから。仕事…優先して？」

慧「……じゃあ、一本電話してくるね」

涼「あ、慧くん、……大ちゃんは悪くないから…気にしないでって言っておいて」

慧「…了解しました～」

涼介の気を遣う性格は何処で作られたんだろう。

……俺がそんなでもないからさ…？

よかったけどねぇ…とても優しい子に育ってくれて。