好き。...嘘、大好き｡【2】[佐野玲於]

お見通し ページ34

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Aside




……ほんと、玲於くんにはお見通し。




A｢…調子悪そうに見える？｣


玲於｢なんか、雰囲気が違う。｣




どうした？、なんて
私のこと覗き込むように聞いてくる。




A｢……わかんない。｣


玲於｢…わかんない？｣


A｢楽しいはずなのに、気持ちよく踊れないっていうか…｣




小さく、そう玲於くんに訴えた。


立ち止まる私たちを他所に
私のスマホは音楽を流し続けていて。


いつの間にか苦しそうな顔を私はしていたらしく、
見かねた玲於くんは私のスマホを操作して音楽を止めた。




玲於｢…ちょっと、話そ。｣




いつものからかうような声色ではなく、
真剣さが溢れる声で、私を壁際に促す。


私がさっき休憩で使った場所に、
2人で座った。




玲於｢なんかあった？｣


A｢ううん。｣


玲於｢じゃあ、どうしたんだよ。｣




耳に響く優しい声に
私はここ数日のことを話した。



ダンスの調子が悪いこと。

沙耶にもスランプじゃないかと心配されたこと。

このままではMVの仕事をもらえないこと。

その仕事のために、1週間猶予を与えられたこと。




A｢…なんか、ほんと、踊れば踊るほどよくわかんなくなっちゃって。｣


玲於｢……うん｣


A｢ここに来たのも、気分転換になって何か変わるかな、って思ったからで……｣




話してるだけで情けなくなる。

そんな私の隣で、玲於くんは顎に手を添えて考えてて。




玲於｢……A、うまく踊ろうって意識しすぎてんじゃね？｣




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