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大きな大きな薔薇の花束。
持っているのは見えていただろうが彼女は驚いた顔をして見せた。
「まず、遅れてごめん」
『うん』
「誕生日おめでとう」
『...うん』
「あと、」
「ずっと好きです」
『......』
「......あの、何か言って?」
黙り込んでしまうAに困ったようにそう言う。
差し出した薔薇の花束を引くにも引けない。
しかし彼女は笑い出す。
『はは...!! あははっ...!!』
「え"、」
他に客が居ないとは言え、爆笑をかまして良い様な店内では無い。
『あは、ごめんごめん、びっくりしちゃって、ふふっ』
Aは花束を受け取るどころか踵を返して背を向ける。
もしかして、やらかした?
先程までとは違う嫌な汗がドッと出るのを感じる。
『すいません、預かってもらっていたものを...』
Aはカウンターのバーテンダーにそう声を掛けると男は一つ頷いてカウンター下から彼女からの"預かり物"を渡した。
それを受け取るとAは再び銀八の元へと戻った。
『同じ事考えてた』
彼女の手には銀八程大きくは無いものの、同じような薔薇の花束があった。
『私も好きよ』
今度は銀八が驚いた顔をし固まる。
Aは花束を交換をするかのように受け渡し、受け取る。
「…どうりで…」
漸く声を出したかと思えば、銀八は何かに納得したかのように言葉を溢した。
銀八の言葉にAは首を傾げたが銀八は「何でも無いよ」と笑った。
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作者名:アカツキ | 作成日時:2024年1月14日 0時