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「はぁっ、はぁっ、」
銀八は走っていた。
一張羅のスーツは既に着崩れていて、折角絞めたネクタイを自らの手で緩めた。
現在時刻、18:15。
指定した待ち合わせ時間はとうに過ぎている。
「(クソ! 何で何処にも無いんだよ!!)」
走り去っていく銀八に通行人は思わず振り向いた。
しかし彼はそんな事お構い無しに走り続ける。
.
.
.
『あははっ、凄い格好ね?』
「はぁっ、はぁ...」
息を切らしてやってきた銀八を、Aは責めたりしなかった。
『ほら座って』
「A、あのさ、」
幸いにも、店に他の客は居なくて、雰囲気に合ったバーテンダーがカウンター奥に居るだけだった。
『待ち切れなくて先に一杯飲んじゃった』
「A」
『許してね』
「A!!」
銀八はペラペラ喋る彼女を大きな声で呼び、手に持っていた"物"を勢いよく差し出した。
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作者名:アカツキ | 作成日時:2024年1月14日 0時