34. ページ35
銀八は頭を抱えていた。
Aの誕生日、欲しい物を聞いたところ、彼女の欲しいものは『銀八』だと言うのだ。
「え…? これ実質プロポーズじゃない? なにサラッとしてくれてんの…」
そして再び頭を抱える。
銀八とて一人の男である。
プロポーズだって考えた事が無い訳じゃない。
「…あんな顔させたかったんじゃねぇんだけどなぁ」
驚く銀八に困ったように笑うAの顔を思い出してぽつりと言葉を溢した。
『銀八ー、お風呂空いたよ』
「おー」
お風呂から上がったAはまだ濡れた髪をタオルで拭きながらリビングへとやってきた。
『なんか元気無い? あ、もしかしてさっきの? 本当に気にしないでって』
「違ェよ、ただ明日仕事やだなーって思ってただけ」
『…そう?』
「そうだよ、だからAも風邪引かない内に髪乾かして来ちゃいなさい」
Aはどこか納得できない様子だったが素直に洗面所へと戻って行く。
「…はぁ、気にしないでって言ってもなぁ…」
銀八は深い溜息を吐き出して乱雑に髪を掻き毟った。
---
36人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アカツキ | 作成日時:2024年1月14日 0時