【銀魂】その男、獣につき

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「おいおい...、お姉さん、本当に此処なの?」

『はい、有難うございました!!』

「ね、ねぇ...まさかとは思うけど......」





ヒクヒクと口元を動かす銀時は目の前の女を指差し指で指しで続きの言葉を発そうとするがそれは叶わなかった。






「何してんだ手前ェ」






真選組の大きな門から現れたのは土方である。
相変わらず瞳孔の開いた目で銀時を睨んでいる。





「荷物運びですぅ」

「あ"? まさか依頼って訳じゃねぇだろうな」

「はぁ〜? 親切な銀さんが、困ってる人を助けただけですけど?!」





銀時はチラッと此処まで一緒に歩いてきた女に視線を向けた。
己や土方よりも断然小さなその人は『あの、』と口を開いた。





『2人はお知り合いですか?』





銀時を睨んでいた土方はその質問に一拍置いて肯定の言葉を零す。





「...万事屋だ」

「どうも、万事屋社長の坂田銀時です」

「給料も家賃も未納の奴が社長を名乗んな」





ヘラ、と笑って自己紹介をする銀時に土方は冷えたツッコミをするが女は目を開き銀時の方を見ては1歩前に出た。





『あぁっ!! 貴方が噂の"万事屋"さんなんですね』
『はじめまして、私、Aと言います』





流れるような綺麗な所作と挨拶に銀時は面を食らう。
同時に「ん?」と思う。
その名は今日、聞いたばかりなのだ...確か、とそう遠くない記憶を呼び起こす。






「土方くんの、...奥さん......?」




『え、』



「な...ｯ、なんで知ってやがんだ手前ェ!!」







驚いた顔をする土方とAに、銀時は「ふはっ」と吹き出した。
まさかそんな顔が見れるとは思っていなかったので、土方の間抜けな表情が見れて思わず出てしまった笑いだった。






『え、あ、えっと、主人がいつもお世話になってます......?』






Aに至っては混乱のあまりか、挨拶が疑問形に変わっている。
そんな2人の反応に満足したのか、銀時は素直に「ジミーくんが教えてくれてさ〜」とあっさりと山崎を売った。




「山崎の野郎、後で切腹だ」
「それにA、俺が世話されてるんじゃねぇ、してやってる側だ」



「というかまじで美人さんなんだな、ムカつくわ」
「つか、わりとタイプだし」






土方のセリフを無視し、顎に手を添えながら品定めするかのようにまじまじとAを見る銀時だったがそれも直ぐに黒いものが視界を遮る。
言わずもがな土方が2人の間に立ちはだかったのだが。





「......何が目的だ」

「は?」

「金か?」

「はぁーｯ、お前は俺を何だと思ってんの」







男2人のやり取りに呆然としていた女は笑うのだ。


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