恋してた_3 [yuta_t]

Chapter102（yuta_side) ページ9

【yuta side】







『遠距離恋愛は出来ますか？』









度々、取材でこんな質問を
受ける事がある









答えはいつも決まって









『無理』の一択









・・・今の俺なら？








・・・今の俺は同じ質問をされたら
なんて答えるんだろう









　
　
　
　





『俺達なら大丈夫』









その言葉に嘘をついた
自覚はないけれど
自信があるわけではなかった









軽井沢で聞いた
仕事に対するAの想い









ただただ・・・
すごいなと思えた









最低でも１年会えない








その間に声を聞けるのは何日で








何回Aのいない朝を迎えれば
Aに会うことが出来るのか









そんな事を頭の中で
考えると止まらなくなって
あの日大丈夫なんて簡単に
言い切った自分が薄情にすら感じた





話を聞いた時点で
行く行かないの相談ではなかったから


Aの中で行かない
っていう選択肢はない事はわかっていて


だからあの時、雑誌の取材と
同じように『無理』だと答えてたら
俺とAは終わっていたと思う


出会ってから
まだ１年も経っていないこの関係


お互い、知り合うまでに
たくさん努力もしてきて
たくさん切り捨ててきたものもあって



その結果を
俺には奪うなんて出来ないし


Aも逆の立場だったら
同じように思うと思う







でも・・・





もちろん今は
Aのいない生活は
考えられないけれど

パリに行ってから始まる生活は
Aがいないのと同じじゃないのか？


楽しい時、嬉しい時は一緒に笑って
辛い時、悲しい時は寄り添い合って
それが出来ないのに・・・

遠く離れた場所で
A何かあった時に
俺に何が出来る？

会いにも行けない
話したい時に話すことも出来ない


抱きしめる事も・・・
手を繋ぐ事すらも・・・








そんな事を考えてるうちに
Aは俺がいなくても
大丈夫って事なのか・・・・






なんてまるで負の連鎖のように
自問自答を繰り返して
納得いく答えが出るわけでもなく








ただただ過ぎていく毎日も
４ヶ月後に始まる未来も
不安だけが大きくなっていった

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