【不死川実弥】風柱、少女を拾う。

にじゅうなな ページ27

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猫を抱き抱え、Aはぼんやりと星空を眺めていた。

つい先程見てしまった、手紙の内容を思い出しながら。


(私また、捨てられちゃうのかなぁ……)


しかも今度は、大好きな人に。

嫌だった。
そんなの、絶対に嫌。

他のところになんて、行きたくない。
でもそれは、私の勝手な我儘かもしれない。


さねみが自分を拾ってくれたこと。
一緒に暮らしてくれたこと。
言葉を教えてくれたこと。
傍に居てくれたこと。


さねみには、もう沢山のことをしてもらった。
それだけで、充分なのかもしれない。


(＿＿＿それに)


私が引き取られるのは、あの子の所だ。
親同士が勝手に婚約した、あの子。

1度だけ会ったことがあるけれど、とても優しい笑顔の子だった。
転んだ私を、家まで運んでくれた子だった。
喋れなくても、馬鹿にしてこなかった。

まるでさねみやたんじろうのように、優しい子だった。



さねみが私があの場所に戻ることを望むなら、
あの子がそれを望むのなら。



私はそれで良いんじゃないか。


「みゃ〜」


Aの腕の中の猫は、何も知らずに呑気に鳴いている。

その姿はまるで、前の自分の様だった。


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