ライに溺れて4

捌 ページ9

歌い終わったら自然と涙が溢れた
もう、涙は枯れたと思ってたんだけどなぁ
この調子で泣き続けたら干からびちゃうよ

パチパチパチ
徐に背後から拍手が送られてきた

？「…ずいぶんイイ声で歌うじゃねぇか
鎮魂歌とは皮肉だがな」

そこに居たのは…
闇を切り取ったような真っ暗な服で身を包んだ長身の男
髪は銀髪で
帽子の下から僅かに覗く眼光は鋭く睨んだだけで人1人くらい殺せそうだ

私「…大切な人が亡くなったんです。人の居ない海辺で鎮魂歌くらい自由に唄ってもいいでしょう？
(貴方たちのせいで秀一さんは死んだんだから)」

背後に居たのはジンだった
なぜ一般人の私の前に姿を現したのか？
真意が見えない
“マッドハッター”とはバレていないだろう
バレてたら既に私は死んでいるはずだ

ジン「お前、数年前イギリスの海でも歌ってただろう？」
私「え？…あっ！」

き、聞かれてたぁぁぁぁ！！
何それ！恥ずかしい！顔から炎出る！
イギリスで日本語の歌なら大丈夫だと思ってたのに

ジン「偶然聞いたあの日からお前の声が忘れられなくてな。ククッ。
こんな場所で逢えるたぁ日本も悪くねぇ」
私「人に聞かせるような歌じゃありません
ただの自己満足です」
ジン「その自己満足に惚れちまったんだ
俺の為に歌っちゃくれねぇか？」

あれ？なんか、組織専属の歌手みたいな扱いになってない？やだよそんなの

私「好きな人の為にしか歌わないって決めてるんです。諦めて下さい
私、もう帰りますので」

例えどんな些細なことでも、組織の為に私が動くことはない
あの人達は秀一さんを奪った私の敵だから









＿＿＿＿＿＿＿＿＿作者

フラグ回収が出来て作者は満足です
ジンとの関わりはこの程度ですよ。お疲れジン

早くも栞100人超え
評価も頂き、順位まで付きまして…
嬉しい限りです

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