988話 何故喧嘩するのか。分からない彼女 ページ8
突然のラップが終わり、車を降りた3人。ここでは昼ご飯の時の様にゆっくり過ごさず、テキパキと動いて買い物を済ませた
これで必要なモノが全て揃ったA。達成感で満足気に駐車場へと歩くがそれは最初だけ。やはり荷物は全て男性陣が持っており、自分はフリーハンド。その事実に納得がいかないAは、後ろについて歩いていた2人の方へ振り返り訴える
『な、何か持ちましょう！』
｢別にいいわ｣
｢必要ない｣
『うぐっ、』
即答。
絶対に渡さないという意思が短い文に詰まっており、思わずAは怯んだ。このまま話は平行線かと思われたが、それはとある事を思い出して微笑みを浮かべた理鶯によって解消される
｢だが仲良しさんになるのは許可しよう｣
『なぬっ！！』
｢は？｣
この言葉はAしか分からない。なのでAは顔を赤くし、左馬刻は意味が分からず険しく眉間に皺を寄せた。しかし汗を飛ばす勢いで慌て悩む彼女を見て、きっと面白いモノだとニヤリと口角を上げた
｢ふーん？よく分かんねぇけど、その“仲良しさん”っての俺様も許可してやんぜ｣
｢左馬刻、それは小官とAだけの特権だ。譲らないぞ｣
｢あぁ？ンな特権知らねぇわ｣
突如として2人の間に火花が散る。急展開だが放置すればマイクか拳が出ると、焦りながら鋭く睨み合う2人の間にAが入り込んだ
『ちょっとちょっと！何で喧嘩しそうな雰囲気なんですか！！』
｢理鶯が俺様に舐めた事言ってやがるからだろうが｣
｢事実を言っただけだ。これ以上の横取りは許さない｣
何故なんだ……。
Aは再び頭をフル回転させて現状打破の術を考える。2人一緒に手を握っては理鶯が拗ねる可能性がある。だからと言って理鶯だけ握れば左馬刻が納得しないだろう
そもそもの原因が理解出来ないAが必死に考えたところで最善策が出る訳がなかった。睨み合っていた2人の間が狭くなり、いよいよ殴り合いが始まりそうになった瞬間、どうにでもなれー！！という気合いのみでAは体を動かした
｢なっ！？｣
｢っ！！？｣
自身の両腕をそれぞれ理鶯の右腕、左馬刻の左腕に絡めたA。パニックになりながらも導き出したのは、所謂恋人同士がやる様な腕組みである
『ここここれで良いですよねッ！！？』
顔が真っ赤でキョドりながら2人の顔を交互に見て叫ぶ姿に、一触即発ムードだった2人は一瞬で収まった。とてもご満悦な表情だ
｢仕方ねぇなァ？｣
｢ふふ、良しとしよう｣
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作者名：刹那 | 作成日時：2023年9月29日 19時
