真夜中に咲く薔薇【藤北夢小説】 (ページ21)

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もうひとつの顔 5 ページ21

俺は出かける準備を済ませると、彼が撮影をしているスタジオまで車を走らせた。

10分ほど経った頃、目的地が見えてきた。
俺は近くのコインパーキングに車を停めて、サングラスをかけ、車から降りた。
さすがに、昼間の太陽は俺には眩しすぎる。
足早にそのスタジオまで歩く。

自動ドアの前に立ち、ドアが開くのと同時に建物に入る。
受付に座っている女性の1人が俺に気づくと立ち上がり会釈した。

「ご要件をお伺いしてもよろしいでしょうか？」

「北山宏光さんはいらっしゃいますか？届け物なのですが…」

俺はサングラスを外し、できるだけ愛想よく答えた。

「伺っております。こちらが入館証になりますのでお持ちください。つきあたりにエレベーターがございますので、そちらで4階になります。」

彼が既に話を通してくれていたお陰でスムーズに入館できた。

「分かりました。ありがとうございます。」

俺は女性に微笑みお礼を言うと、エレベーターで4階に向かった。