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甘いものはお好き? 1 ページ22

エレベーターが4階に着くと、大人数に囲まれながら無数のフラッシュを浴びている“ 北山宏光”が居た。

そこに居る男は本当にさっきまで一緒にいた彼なのか?と思うほど別人だった。

カメラを射るような瞳。
要求されたポーズを難なくこなす柔軟性。

気がつけば俺も彼に見惚れてしまっていた。
彼を見つめたまま、その場に立ち尽くしていると、一人の若いスタッフが遠慮がちに俺に声をかけてきた。

「あの……藤ヶ谷さんですか?」

「あ、はい。これを北山さんに頼まれて…」

俺は声をかけられたことではっと我に返り、彼に頼まれた封筒をスタッフに手渡した。

「わざわざありがとうございます。良かったら撮影見ていかれますか?さっき、熱心に見られてたから。」

「でも、迷惑になるといけないので帰ります。」

微笑みながら言われ、俺は無理やり平然を装い答えた。

しかし、俺がその場から立ち去ろうとした時だった。

「藤ヶ谷くん!」

彼が俺の名を呼びながら近づいてきた。

「帰っちゃうの?」

その口調は俺の知ってる彼だった。

「うん、そうしようと思ってるけど。」

「もし、時間あるなら今から休憩だから一緒に昼飯食べない?届けてくれたお礼もしたいし。」

彼が子犬のような瞳で俺の様子をうかがいながら聞いてきた。
そんな顔されたら断れないだろ。

「分かった。食べよう。、」

本当は君を喰べたいけど。なんつて。

俺は心底、北山宏光という男には弱いみたいだ。

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作者名:ルナ | 作成日時:2020年3月25日 1時

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