第5夜 リナリー・リー ページ6
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初めての任務に出てからもう3年が経った。
これまでたくさんの任務に赴いた。
大きな怪我もたくさんしたし、たくさんの人の死を看取ってきた。
鼻を衝く異臭にも、僅かに温度を感じる血にも生ぬるい風にも
もう随分慣れた．．．。
私、A8歳は2か月の長期任務から帰ってきたところだ。
疲れた体で室長室に来ると見知らぬ少女が室長の横に立っていた。
「．．．」
少女は不安げに視線をあちこちに移している。
視線が一瞬合うもすぐに逸らされた。
『．．．室長、その子は』
聞かなくてはいけない気がして、対して興味もない事を口にする。
．．．答えなんて分かりきっているのに。
「新しいエクソシストだよ。
2日前にここに来たんだ」
ああ、やっぱり．．．。
「まだ分からない事だらけだろうからね。
A。
この子の面倒を見てあげなさい」
『は？』
「お前は長くここにいる。
エクソシストとしての仕事のことも教えなくてはいけないだろう？
年も近いお前が一番いいだろう。
頼んだよ」
『．．．』
冷たい瞳で見つめられ無言で頷く。
少女は室長に背中を押され私に近づいてくる。
それを見て少女を連れ室長室を出た。
．
．
．
『ここが医務室であそこが書庫。
あっちが訓練場。
んで、ここが食堂』
数歩後ろを歩く少女を目の端に捉えながら教団内を案内する。
施設内も知らずに2日間何をしていたのだろうか．．．。
．．．きっと、自室に閉じこもっていたのだろう。
『まあ、これくらい知ってたらなんとかなるでしょ。
あー、あとは科学班の部屋があるけどあんま近付かない方がいいよ。
それと飯はちゃんと食え。
ここはいつでも飯出てくるから』
食堂の入り口に立って説明をする。
自分より幾分か小さな少女を見下ろすも視線は合わない。
それに小さく息を吐いてじゃあね、と言ってその場を去った。
「．．．」
『．．．何？』
去ろうと、した．．．。
したのだが、少女にコートを掴まれそれは叶わなかった。
その時、少女の顔がゆっくりと上がる。
「あ、の．．．ありがとう．．．」
『．．．』
やっとまともに見た少女の顔は随分と可愛らしいものだった。
アジア系だろうか。
艶やかな黒髪がよく似合う。
『どういたしまして』
一言そう告げ、少女の手から逃れ自室に歩を進めた。
これが、私とあの子の出会い．．．＿＿＿＿
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作者名：SHINKAI | 作成日時：2019年3月31日 13時
