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第五話:鬼退治 ページ7

夜の帳が落ちた街の中を、一気に駆け抜けていく。

目指す場所からは、女の人の悲鳴と、『鬼』の匂いがしていた。


「キャァァァ!! だ、誰かっ! 誰か、助けてぇッ!!!!」

「おい、大人しくしろ! 鬼狩りが来たらどうす……!!」



「――鬼狩りが来たら、どうするんだ?」


鬼が、ばっと後ろを振り返るのと同時に、女性を掴んでいた強靭な腕を斬り落とし、
そのまま、一瞬で距離を引き離す。


「っ……!!!!」


鬼は斬り落とされた腕から、血をボタボタと垂れ流していたが、
直ぐに腕を再生させた。


(喰ったのは、四十二人……でも、戦い慣れてない。余程、運が良かったか)


とにもかくにも、一瞬で片を付けられそうで良かった。


「炎の呼吸・壱ノ型――不知火」


次の瞬間、鬼の頸は…………『そのまま、繋がっていた』。



「はァ!!!!??」


「ギャッ……ギャハハハハ!! 残念だったなァ!!
 頸も斬れないなんて、大したことねェなァ!!お前!!」


「ええぇ!!! 嘘だァ!! ちゃんと斬ったんだけど!!」


「鬼狩りっつても、その程……!!! ど………?」



鬼が、半分に狂い回った『ど』の音を出すと、鬼の頸がコトリと落ちた。


「あ、アレ…………」


「あぁ、綺麗に細胞単位で斬り離したせいで、頸が直ぐに落ちなかっただけか。
 良かった、良かった」



その鬼の頸が落ちた数拍後に、遅れて、その体もボトリと落ちた。



「ふ…………フザケんなァァァァ!!! テメェェ! 殺してやる!!
 ぶっ殺して……!!」


「いやァ、もう無理だろ」



その次の瞬間。鬼の体は一気に灰となり、一瞬にして、塵となって消えていった。


(時間差で、一気に消えたな……手を合わせる暇も無かった)


正直、最初から最後まで、面白い鬼だったと思う。
来世では、人間として友達になりたい。


(成仏してくれ……)


少しの間、手を合わせてから、先ほど、鬼に捕まっていた女性に駆け寄った。


「大丈夫ですか? どこか、痛んだりは……」

「あ、あぁ……! ありがとうございます! 本当に、ありがとうございます!!」


涙を零しながら、礼を言う女性の背中を撫でて、落ち着かせる。


(この調子なら、『約束』も果たせそうだ)


ヒュウと風が逆巻くような音を聞きながら、安堵の息を一つ吐く。






……だから、直前まで気付かなかった。


次の瞬間。自分の隣にいた女性に、刃が振り下ろされた。

第六話:上弦の鬼→←第四話:悪夢の前の平穏 4



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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 黒死牟   
作品ジャンル:恋愛
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神亜(プロフ) - とても面白です! 日輪ちゃんはどうなってしまうのか...とても気になります! 更新、無理しないで頑張ってください 応援してます 続けぇぇ (2020年5月30日 9時) (レス) id: 7ae973559f (このIDを非表示/違反報告)
- 続いてええええ! (2020年4月14日 23時) (レス) id: 584f216f44 (このIDを非表示/違反報告)
青鈴 - とてもとても好きです!!私が頭のなかで思い描いてた話と近いので見ていて楽しいです! (2019年9月13日 16時) (レス) id: 681f1f52c6 (このIDを非表示/違反報告)
大福もやし - 今後の展開が、気になります (2019年9月9日 3時) (レス) id: 46531bb7b7 (このIDを非表示/違反報告)
玲音チャン - めっちゃ好きですぅぅぅぅぅぅぅうぅぅうう!!!!!!更新頑張って下さい!応援してます! (2019年8月27日 21時) (レス) id: b000323d2b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:露草 | 作成日時:2019年7月11日 3時

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