Episode145 雨音とノイズ ページ46
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深く刺さったようで、抜くまでに少しの隙が出来た。森という地形を利用する考えは、ボーダーに入る前の私だったならば思い浮かばなかっただろう。付け焼き刃の甘い戦術だが、考えることが苦手な私にとっては大きな成長だ。
ボスッ、ドスンッ
奈那が剣を抜く前に私は彼女の足を回し蹴りしてその体を転ばせ、そうするとビシャっ、と水が跳ねる音がした。馬乗りになると同時に木に刺さっていたそいつの武器を抜き取って、床に背中を預けるそいつの首元にカチ、と構える。チェックメイト、だ。
「ーーA、」
「私を殺して」
カタカタカタカタカタカタ、と剣が震えていた。
殺す、ころす、コロス…………？
ぽた、ぽたと髪から、頬から、雨水が流れて下にいるそいつの顔に落ちた。生身ではひどく冷たく感じる雨。なんで、私は奈那との戦闘をやめたいのに。お願いだからここで引いてよ、本当はずっと会える日を待っていたけれど、もう二度とあえなくなったっていいから、だから殺せなんて言わないでよ。
私のいないどこか遠い場所でいいから、笑っていてよ。
「あいつらは絶対私らのどっちかを生かすなんてしない」
どうせ生き残った方をなぶり殺しでもするつもりだ、とそいつは私の下で言った。半分程度しか耳に入ってこなかった。さっきまで私に攻撃を仕掛けていたときの目とは、『フィデス』の目とは違う目をしていた。
「けど、私に策がある」
武器を握りしめたまま私はそいつを見つめていた。ねえ、どこまでが『フィデス』だった？どこまで本気で私を殺そうとしていた？一体いつから、その策を練っていたの？頭ではいくつもの疑問が浮かんで、本当は最初から私を殺す気など無かったのではないかなんていう希望的な憶測までし始めて、だけどそれら全部は言葉になることはなく、私の中で死んでいった。
「あんたが私を殺せば、確実にあんたは生きて帰れる」
「はあ……？」
「あいつら全員蹴散らして仲間のとこに戻れるくらいの力を、与えてやるって言ってんの」
「だからーー殺して」
こいつが何を言ってるのか少しだけ察したような気がして、目を見開いた。
どうして、奈那は私を助けようとするのか。いつ『奈那』に戻ってくれたのかと考えを巡らせても、目の前の戦闘にいっぱいいっぱいだった私とは対照的に彼女が冷静に状況を判断し、何とかあの男たちの手から逃れる術を探していたのだろうということまでしか分からず、相変わらず複雑な思考回路を持ち合わせていない自分のことが酷く嫌になった。
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亜桜(プロフ) - 緋色さん» ありがとうございます(；▽；)更新頑張ります！ (2019年1月21日 19時) (
レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
緋色 - 続きが気になりすぎる！！！面白すぎてヤバイです！！更新頑張ってください！応援してます！！！！ (2019年1月20日 21時) (レス) id: 076cc2dab4 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - twice MOMO，loveさん» 長編にも関わらず全て読んでいただけて本当に嬉しいです(；ω；) できる限り定期的に更新していきたいと思います！ (2018年12月11日 11時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
twice MOMO,love - とても面白いですっ！ いっきにすべてのお話し読みおわってしまいましたッ！ これからも頑張ってください！( v^-゜)♪更新お待ちしています！ 長文ひつれいしました (2018年12月10日 17時) (レス) id: cfa0ae033f (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - アヤカさん» ありがとうございます！！( ；∀；)がんばります！！ (2018年11月25日 12時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜桜 | 作成日時：2018年10月8日 12時
