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Episode047 ページ48

出水side



太刀川隊がA級に敗れてから二週間。次のB級ランク戦は三月からで、いつまでも引きずっていないで次のことを考えなければならない。


「あいつ学校でどんな感じ?」
「まーそれなりにやってるけど、どっか元気ねーな」


今日は米屋と二人で、ラウンジに向かい合って座っていた。別に珍しいことでもなかった。学校での様子を尋ねると、米屋からまあ予想していた答えが返ってくる。


「まだ気にしてんのかよ。Aのせいで負けたわけじゃねーっつってんのに」
「オレらが言っても訊かねーのな」


Aはあれから元気がなかった。親しい人以外には猫被るような奴だから態度には出さないし、おれらといつも通りバカをやっているが、やはり分かるものは分かる。Aはおれらが負けたのは自分の責任がデカいと思っていて、おれや米屋が違うと言っても訊かなかった。


「そういや太刀川さんは何か言ってやんなかったのか?」


お前が真っ先にベイルアウトしたのが一番の敗因な訳あると思ってんのかよこの自惚れ女。


「いや……気にすんな、としか」


太刀川さんは、反省会をしたときも特別Aに励ましの言葉をかけることはしなかった。お前のせいではないとか、敗因はそもそもの実力差だったとか、言ってやれば良かったというのに。


「まあけど、あの人なりに励ましてんだろーな」
「マジか、太刀川さん意外と口下手?」


気にすんな、と言うにしても、頭を撫でてやったり笑いかけてやったりすればいいのに、あの人マップ見ながら淡々と言っただけだからな。


「いやいや、言葉の引き出しが無いだけだろ」
「あー。……ってそれお前隊長のことバカにしてね?」
「納得したお前も同罪な」


その瞬間ピコンとラインの通知音が鳴って、おれは画面を確認した。


『太刀川さん : Aまだヘコんでんのか?迅もあいつが生きてても俺らが勝った未来はみえなかったっていってたのにな』


「は?」とおれは声を上げて、「なに亜桜の話?」と米屋は画面を覗き込んでくる。おれは太刀川さんとラインでAがまだA級戦のことを気にしてるんじゃないか、という話をしていたのだが、それで『太刀川さんもうちょっと何か言ってやって下さいよ』と送った返事がこれだ。


「そーAの話、なあ太刀川さんホントにバカなの?」
「は?」


そんな話を迅さんから訊いていたなら。


『それAに言いました?』
『いや?』
『じゃあ言ってやって下さい今!』


おれや米屋や、何なら太刀川さんに慰められるよりも、迅さんの言葉が一番あいつには効くと思うから。

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亜桜(プロフ) - 百瀬さん» ご指摘ありがとうございます!固定夢主の名前を変換しそこねていたようで……大変失礼しました;;気付いたところから修正していきます。 (2023年1月5日 0時) (レス) id: 8ae19fe800 (このIDを非表示/違反報告)
百瀬 - 途中途中で名前が"紗雪"になってますよ〜! (2023年1月3日 12時) (レス) @page47 id: 6aa4d6dc2c (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 柊那さん» ありがとうございます(´;ω;`)修正多めのマイペース更新で申し訳ないですが頑張ります!! (2018年5月18日 13時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
柊那 - 面白かったです!続き楽しみてしてます。更新頑張ってください( -`ω-)b (2018年5月18日 2時) (レス) id: 6886eff87c (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 藤見日和さん» わざわざ有り難うございます!!わがままな作者で申し訳ないです(汗)必ず戻ってきます…! (2016年11月24日 20時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:亜桜 | 作成日時:2015年8月5日 16時

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