Episode031 ページ32
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「そういやお前と出水、結局どっちが先に昇格したんだ?」
「私です」
「おい嘘ついてんじゃねえぞ、同時だろ」
私と出水はどちらが先にB級に上がるかを勝負していたので、その結果を太刀川さんが訊いてきたのだ。私が圧勝した……と言いたいところだったが、本当は同じ日のランク戦でお互いポイントが貯まった。太刀川さんが面白くないな、と退屈そうに呟いたので、私は嫌味っぽくすみませんね、と返しておいた。
「あ。太刀川さん、オペレーターはどうするんすか?」
「それ思った」
隣の出水がそう尋ねて、私も便乗する。そういえばオペレーターの話は訊いていなかったので気になっていたのだが、きっと女の子だろうし、期待が膨らむところだ。
「ああ、それなら大丈夫だ」
そう言って太刀川さんは、スマホを取り出して誰かに電話をかけた。もしかしてこの人、出水のときのようにオペレーターも私達に相談なしに決めてしまったパターンだろうか?
「今基地か?……あー、わかった頼む」
すぐに会話は終わり、太刀川さんがプチッと電話を切る。おそらくオペレーターを頼んだ人に電話したのだと予想できたので、やはり一人で決めてしまったようだ。出水と顔を見合わせて、本当にこの人は……と視線で会話した。
「すぐ着くらしい。ちょっと待ってろ」
そして待つこと数十分。
「お待たせ〜〜」
「おー国近」
「お二人さんはじめまして。私は国近柚宇、君たちのひとつ先輩だよー」
やって来たのは年の近そうな女の子。ひらひらと手を振ってこっちに歩いてきた。柔らかい雰囲気の、可愛い人だ。その人は太刀川さんの隣に座りながら自己紹介をしてくれる。柚宇さんね、と私は心の中で呟く。優しそうだし、何より可愛い。心の中でガッツポーズをした。
「どーも、出水公平です」
「亜桜Aです〜〜っ」
「お前……隊組むんだから猫被んな」
「すいませんつい癖で!」
私の様子を見ると、柚宇さんがあははと楽しそうに笑った。
「で、この四人で隊を組むわけだが、登録は一週間後でいいか?」
「隊長は太刀川さんですよね?」
「そうだ、問題ないだろ?」
「じゃ太刀川隊か……ランク戦、楽しみっすね」
隣で出水がポテトを食べながら言った。B級からA級に上がるには団体戦を勝ち抜く必要があって、それがB級ランク戦。確か上位になるとA級挑戦権がもらえるらしい。
「なんかテンション上がってきた」
私は伸びをしながら呟く。そうだな、と太刀川さんの楽しそうな声が聞こえた。
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亜桜(プロフ) - 百瀬さん» ご指摘ありがとうございます!固定夢主の名前を変換しそこねていたようで……大変失礼しました;;気付いたところから修正していきます。 (2023年1月5日 0時) (レス) id: 8ae19fe800 (このIDを非表示/違反報告)
百瀬 - 途中途中で名前が"紗雪"になってますよ〜! (2023年1月3日 12時) (レス) @page47 id: 6aa4d6dc2c (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 柊那さん» ありがとうございます(´;ω;`)修正多めのマイペース更新で申し訳ないですが頑張ります!! (2018年5月18日 13時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
柊那 - 面白かったです!続き楽しみてしてます。更新頑張ってください( -`ω-)b (2018年5月18日 2時) (レス) id: 6886eff87c (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 藤見日和さん» わざわざ有り難うございます!!わがままな作者で申し訳ないです(汗)必ず戻ってきます…! (2016年11月24日 20時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜桜 | 作成日時:2015年8月5日 16時