Episode019 ページ20
太刀川side
Aのサイドエフェクトは何だろうか。目か耳か、あるいは両方か。何にせよ、役に立つことに変わりはないだろう。我ながらいい素質を見つけた、本当にな。診断結果が出たらすぐに知らせてもらおう。
さて。アイツはどこだ?そもそも話したこともない相手だが。
「おっ、いた。おい」
廊下で見つけたそいつを俺は呼び止める。正式入隊日、この日に素材を見つけるつもりで俺は上から戦闘訓練を見ていた。そしたら掘り出したのだ。“天才”をな。
「……?おれっすか?」
誰だ?といった顔で、そいつは俺の方に振り向いた。まあ初対面だからそれは当たり前だろう。こいつは既に注目されている天才で、さっきの戦闘訓練を見る限り、射撃センスもトリオン量もかなり見込みがあった。他のやつに取られる前にモノにしておきたい。
「確か出水だよな。おれはB級の太刀川だ」
こいつは今日、正式入隊したばかりの新人。そういえばAがこいつと親しい様子だったが、そんなことは別に今関係ない。ただ俺がコイツだと思ったから、こうやって声をかけている。
「単刀直入に言うがお前、俺の作るチームに入らないか?」
「っはい?おれまだ訓練生ですよ?」
想像通りのリアクションだった。以前から俺と面識があったAの時はまだしも、全くの初対面である出水にとっては完全に飲み込めない状況だろう。まずはB級昇格を目標にしている段階で、チームなんてまだ考えているはずもないのだから。
「それに、初対面の人にいきなり言われても決められないっすよ」
当然の返答だった。俺は出水を説得するべく、頭をはたらかせる。策を何も考えずに声をかけたのはさすがに急ぎすぎたか?だが、そうまでしてでも取っておきたい逸材なのだ。
「……じゃあ、実力があれば決められるか?」
ふと一ついい案が浮かんで、出水にそう問いかける。「そりゃあ勿論」という声が訊こえたのを確認し、おれはあたりを見渡した。実力を見せるなら、あの方法が丁度いい。すると、手頃な男が廊下に現れた。
「迅!おれとランク戦しろ」
「げっ……太刀川さん」
「何だ?お前なら俺と会うことくらい見えてただろ」
「それが最近太刀川さんに会ってないおかげで全く」
「そいつは残念だったな」
通りかかったのは既にA級の迅悠一。おれは即座にそいつに声を掛けた。迅は俺の顔を見るなり嫌そうな表情を浮かべる。迅が強いことは徐々に隊員内で知れ渡ってきているし、勝負が互角だったとしても、出水に実力を見せるには効果アリだろう。まあ、当然勝つのは俺だけどな。
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亜桜(プロフ) - 百瀬さん» ご指摘ありがとうございます!固定夢主の名前を変換しそこねていたようで……大変失礼しました;;気付いたところから修正していきます。 (2023年1月5日 0時) (レス) id: 8ae19fe800 (このIDを非表示/違反報告)
百瀬 - 途中途中で名前が"紗雪"になってますよ〜! (2023年1月3日 12時) (レス) @page47 id: 6aa4d6dc2c (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 柊那さん» ありがとうございます(´;ω;`)修正多めのマイペース更新で申し訳ないですが頑張ります!! (2018年5月18日 13時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
柊那 - 面白かったです!続き楽しみてしてます。更新頑張ってください( -`ω-)b (2018年5月18日 2時) (レス) id: 6886eff87c (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 藤見日和さん» わざわざ有り難うございます!!わがままな作者で申し訳ないです(汗)必ず戻ってきます…! (2016年11月24日 20時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜桜 | 作成日時:2015年8月5日 16時