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 For example,
 自分を愛せたら。

 If,
 誰かのために全力を尽くせたら。

 
 停滞中の心で、なにができるんだろうと考える。生への執着を持てないから、未来の不安が募るばかりだった。別にこのままでもいいか、でも、あの人が羨ましい。もっと、自分らしく生きられたら─────

 思わずしゃがみ込むと、心臓の音がドクドクと聞こえてくる。塞ぎ込もうとすると、隣で立っているソイツは言った。


「(名前)って、ホント考えすぎるところあるよね。哲学者にでもなるつもり?」


 河川敷で夕陽を眺めていた。そんなつもりはないと一瞥すると、上からの目が合った。そしてソイツは嘲笑する。


「あ、自分が特別だと思ってるんだ?」

「思ってない!!」

「うるさ」


 冬の夕暮れ、乾いた空に反論の声はよく響いた。陽が落ちて少しして、おもむろに立ち上がる。


「また来るから!」

「好きにすれば?」


 菊地原とそんな会話をしたのは1ヶ月前だと言うのに、まるで昨日のことのように脳裏に焼き付いていた。


─────
*女主
*他人が死にます注意執筆状態:完結

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作者名:あのね | 作成日時:2023年9月19日 5時

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