合縁奇縁【WT】 (ページ6)

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欠点すらまとめて食べるページ6

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小鍛冶Aは射手としての才能に溢れている。

射手の中ではトップクラスの速さで作り出す合成弾と可変なしで引かれた超加速の弾道は、射手界隈の中でも唯一無二の大技であり最大の武器であった。リアルタイムにバイパーの弾道が引けなくとも、Aの合成弾と弾速は他の追随を許さぬ圧倒的な実力を放っている。
これだけでも十二分に彼女の射手としての才能を知ることが出来るが、Aの持つ1番の強さは常に弾道の軌道を計算する射手の中で、Aだけはサイドエフェクトーーつまりは直感だけでトリオンを放つ射手であることだ。

Aが力を発揮したのはB級のときだった。

C級の最初の訓練で2.3秒と圧倒的好タイムを出したのにも関わらずそこから目立つこともなく、その年の新人王の座を取る事のなかったAは、当時はC級内ではまぐれだのたまたまだの散々な言われようだった。

しかし、そんな噂を気に止めることも無くAはひたすら正隊員のランク戦のログを見漁り、色んな相手にランク戦を吹っ掛け試合をしていた。Aの目的は新人王ではなくB級に上がるまでに得るための実力の取得だった。それまで近距離に持ち込まれると崩れてしまう射手の弱みを壊すために、グラスホッパーを投入し近距離に対抗出来る準備をしていたのだ。

「爆速でB級に上がった新人がいる」

それは入隊わずか1週間でB級に上がってきた彼女ーー小鍛冶Aのことだった。

B級に上がる頃にはAは近･中距離に特化した機動型射手として色々な隊の人間が目をつけていた。もちろん太刀川さんも目をつけてたし、二宮さんも目をつけていた。

グラスホッパーで飛び回りながらぶっぱなすアステロイドの重圧はAの豊富なトリオン量のなせる賜物。攻撃手泣かしの射手。

こうしてAはまことしやかにこう囁かれる。

ーー天使の顔した悪魔

可愛らしい顔立ちをしたAにつけられた褒めているのか貶しているのかどっちつかずの名前だった。

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