【NARUTO×FAIRYTAIL】私は忍者じゃない其の四！ (ページ35)

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「今のは強すぎだ。……だが弱すぎるより良い」

狼は顎の下に手を組んで微笑んだ。

どこの女王様だよ、とでも言いたくなるような佇まい。

「もう一回！」

Aは水の上に足を置いた。

「歩くのはまだ難し○×△※■$！？」

バシャ、と音を立てて水の中に落ちた。

直後、プハー！と言いながら浮かび上がる。

「結構深いですね、この川!!」

Aは慣れたように水の中を泳いだ。

狼はじっとAを見物していた。

(この速さじゃ地上を走っているのと変わらないな……)

水中からの調査にも向いてるな、コイツは。

「見てください！ロウ！」

Aは失敗しながらも水面に立つ時間を徐々に長くしていった。

飲み込みが早い。

だが歩くのはまだ下手だ。

下手なときに無理に歩こうとすると、チャクラを大量に消費する。

案の定、Aは昼を過ぎた辺りで限界を迎えた。

川の流れに負けて、下へ流されていきそうになったところを狼が持ち上げた。

「今日の忍術の修行は終わりだ。午後からは手裏剣を投げる」

そんな調子で修行は続いていった。

＊

修行開始から1週間目の昼前。

切り立った崖のてっぺんで、シンヤは狼との修行に打ち込んでいた。

シンヤの首筋の呪印は消えている。

狼は片手でシンヤの蹴りや拳を受け止め、軽やかに動きまわる。

まるで無駄な動きがない。

対してシンヤは体の所々に傷がある。

今日の修行でできた傷だ。

今は正午に近いから、シンヤの傷は治りにくい。

「集中力が鈍ってる!!」

狼はあまり息を切らしていない。その目は楽しんでいるようにも見える。

(……コイツは元々の能力が高い…リーと同じレベルの体術に達しそうだ……)

狼の赤髪が線を引くようになびいた。

直後、シンヤが吹き飛ばされた。

シンヤは地面につま先と手の指を立てて、後ろの岩に叩きつけられるのを防いだ。

「……ハァ…ハァ…」

うつむいて膝に手をついたシンヤの紺色の髪から汗が滴る。

「どうした？もう終わりか？」

「……」

シンヤは顔を上げて狼を見据えた。

「そう…終わりだ……!!」

シンヤは地面を蹴って、一瞬で狼の目の前に移動した。

そして右手の拳を突き出す──

ように見せかけ、狼の前から消えた。

シンヤの拳を打け止めようとした狼の手が宙を掴む。

そして……

音もなく後ろから蹴りを食らわせた。

気づくのが遅れて中途半端に防ぐ形になった影分身はダメージを負い、音を立て消えた。