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「私、足が小さくなった気が……」
「それ、僕の靴だよ」
「……あー!どうりで…!シンヤって足が大きいんですね」
「早く返してよ……」
「あははは……ゴメンナサイッ!!!スイマセン、もうしませんってば!!!」
Aが玄関ではしゃいでいる頃、狼は部屋の机を見下ろしていた。
そしておもむろにひとつの写真を手に取り、怪訝な顔で眺めた。
昨日感じた違和感の原因は、オレンジの箱だけではない。
恐らくこれだ。
「……何だ…これ…」
見たことのないような細かい模様の細工がフチに施されている。
時間が経って色あせてはいるが、かなり良い状態に保たれている。
相当良い紙を使っているのだろう。
どう考えても、普通は手に入れることのできないであろうこの写真は、殺風景な部屋で浮いて見える。
しかしそれよりも、狼は写真に写っているものに目を奪われた。
赤い大きな椅子に腰掛ける二人の男女、その間に座ってはにかむ幼い少女……
これは親子の写真だろうか。
母親と父親は我が子を優しい眼差しで見つめている。
そして皆、高価そうな服を身に着けていた。
(……Aか?……いや…)
狼は幼い少女の髪を、指で軽くなぞった。
この子の髪は水色だ。そして両親の髪も水色だ。
そう、この親子はよく似ている……
眼の色が青いということに関しても、そっくりだ。
「ロウ先生?」
Aの声でハッと我に返った。
「ああ、今行く」
狼は写真を元の場所に置き、Aとシンヤの後に続いて外へ出た。
*
「影分身の術!!」
狼は外で分身を出した。
「シンヤ。着いて来い」
「うん……じゃあね」
シンヤはAに手を振って、走りだした狼の分身に着いて去っていった。
「……じゃ、俺達も行くぞ」
狼とAは木ノ葉隠れの里のはずれまで移動した。
緩やかな川の手前で狼は立ち止まり、Aを振り返る。
「まずは水面歩行の術だ」
「……水面歩行…水面を歩くのですか?」
「その通り」
狼は川の上を歩き、向こう岸に渡った。
「チャクラを足の裏に集めて自分の体重とつり合わせたまま一定に保つ」
とりあえずやってみろ、と言って狼は向こう岸に座った。
「俺の所まで歩いてこれたら合格だ」
Aは顔の前で基本印を結び、足の裏にチャクラを集めた。
これ自体は木登りで散々練習したため、割と簡単にできる。
Aは水の上に足を置き……
「キャ!?」
弾き飛ばされて、後ろに手をついた。
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花ノ木日向(プロフ) - limeさん» ありがとうございます!! (2018年3月28日 10時) (レス) id: 1b110c99e1 (このIDを非表示/違反報告)
lime - 更新頑張ってください!最高です! (2018年3月25日 23時) (レス) id: 8d172b97ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花ノ木日向 | 作成日時:2018年3月18日 17時