* ページ29
「逃げられたか……」
カカシは窓の外を見てため息をついた。
薬師カブト……かなりの手練だ。
カカシと張るくらいの実力を持っている。
あんなのが大蛇丸の手元に居るとすれば……
「オレもこのままじゃあな…」
カカシは窓枠に肘をついた。
(狼……大蛇丸には気をつけろ…)
*
大蛇丸は医療班が出て行った直後のAの病室に入り込んだ。
まさかAが狙われるとは思っていなかったのだろう。
護衛の忍者は居ない。
思ったよりも早く仕事が済みそうだ。
大蛇丸は注射器のようなものを取り出した。
「フフ……少しばかり血をいただくわ…」
大蛇丸はAの首筋に針を刺し、血を吸い取った。
「…ぐ……」
痛みを感じたのか、Aが苦しそうにうめく。
そして…
採った血を懐にしまおうとしたその手を……
誰かの手が掴んで止めた。
「…その血で何するつもりだ、大蛇丸…」
「この私が気づかないなんて……」
大蛇丸は首を180度回して振り返った。
「……相変わらずの抜き足ね…狼くん…」
狼は大蛇丸の手を強く握った。
骨がミシミシと音を立てる。
「……いつ見ても驚かされるわね。その顔からは想像できない力強さ…」
「黙れ」
「いつにも増して冷たいのね。この子がそんなに大事?」
「……」
狼は大蛇丸を地面に打ち付け、その背中に足を置いた。
「ああ、大事だ……だからこれは置いて帰ってもらう」
狼の右手にはAの血が入った容器。
「フフ…さすが、
「……随分とおしゃべりだな。
「それは遠慮しとくわ……」
「……!!」
大蛇丸は首を伸ばし、狼の体に巻き付いた。
そして狼が持っていた容器を奪い取って飲み込んだ。
「人間離れしているな」
「それはアナタもよ」
大蛇丸は狼を睨んだ。
狼も大蛇丸を睨み返す。
何も起こらない。
「クク…今は幻術を使えないようね…」
大蛇丸は狼に巻き付いていた首を元に戻した。
「ここで戦ったらAにも危害が及ぶかもしれない。それを恐れて武器は使わないつもりね?」
まあ、どう考えてもこの状況…私の方が有利だものね。
大蛇丸は狼の手を掴んで自分の腕を開放した。
「じゃあ、そろそろ失礼するわ」
去っていく大蛇丸は狼の耳元でささやく。
───金縛りで動けない気分はどう?
狼はギリ、と歯を鳴らした。
(何もできなかった……)
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花ノ木日向(プロフ) - limeさん» ありがとうございます!! (2018年3月28日 10時) (レス) id: 1b110c99e1 (このIDを非表示/違反報告)
lime - 更新頑張ってください!最高です! (2018年3月25日 23時) (レス) id: 8d172b97ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花ノ木日向 | 作成日時:2018年3月18日 17時