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ページ29

「逃げられたか……」

カカシは窓の外を見てため息をついた。


薬師カブト……かなりの手練だ。

カカシと張るくらいの実力を持っている。


あんなのが大蛇丸の手元に居るとすれば……

「オレもこのままじゃあな…」

カカシは窓枠に肘をついた。

(狼……大蛇丸には気をつけろ…)










大蛇丸は医療班が出て行った直後のAの病室に入り込んだ。

まさかAが狙われるとは思っていなかったのだろう。

護衛の忍者は居ない。


思ったよりも早く仕事が済みそうだ。

大蛇丸は注射器のようなものを取り出した。


「フフ……少しばかり血をいただくわ…」

大蛇丸はAの首筋に針を刺し、血を吸い取った。

「…ぐ……」

痛みを感じたのか、Aが苦しそうにうめく。


そして…

採った血を懐にしまおうとしたその手を……

誰かの手が掴んで止めた。


「…その血で何するつもりだ、大蛇丸…」

「この私が気づかないなんて……」

大蛇丸は首を180度回して振り返った。

「……相変わらずの抜き足ね…狼くん…」


狼は大蛇丸の手を強く握った。

骨がミシミシと音を立てる。


「……いつ見ても驚かされるわね。その顔からは想像できない力強さ…」

「黙れ」

「いつにも増して冷たいのね。この子がそんなに大事?」

「……」


狼は大蛇丸を地面に打ち付け、その背中に足を置いた。

「ああ、大事だ……だからこれは置いて帰ってもらう」

狼の右手にはAの血が入った容器。

「フフ…さすが、あの一族(・・・・)の血をひいているだけあるわ」

「……随分とおしゃべりだな。あの一族(・・・・)の幻術でも試してみるか?」

「それは遠慮しとくわ……」

「……!!」


大蛇丸は首を伸ばし、狼の体に巻き付いた。

そして狼が持っていた容器を奪い取って飲み込んだ。


「人間離れしているな」

「それはアナタもよ」

大蛇丸は狼を睨んだ。

狼も大蛇丸を睨み返す。


何も起こらない。

「クク…今は幻術を使えないようね…」

大蛇丸は狼に巻き付いていた首を元に戻した。

「ここで戦ったらAにも危害が及ぶかもしれない。それを恐れて武器は使わないつもりね?」

まあ、どう考えてもこの状況…私の方が有利だものね。

大蛇丸は狼の手を掴んで自分の腕を開放した。


「じゃあ、そろそろ失礼するわ」

去っていく大蛇丸は狼の耳元でささやく。


───金縛りで動けない気分はどう?


狼はギリ、と歯を鳴らした。

(何もできなかった……)

狼の驚き→←*



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花ノ木日向(プロフ) - limeさん» ありがとうございます!! (2018年3月28日 10時) (レス) id: 1b110c99e1 (このIDを非表示/違反報告)
lime - 更新頑張ってください!最高です! (2018年3月25日 23時) (レス) id: 8d172b97ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花ノ木日向 | 作成日時:2018年3月18日 17時

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