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楽しいのか、楽しくないのか……彼に聞けない私は、ただ晋助さんを見つめていた。でも彼は私の視線に今度は気付かないフリをして、前を歩いていく。
ふと、もっと前へ目を凝らせば、そこには「御用」と記されている提灯を持った奉行所の役人が数名見えた。
晋助さんに気付いているのか分からない。でも彼らは、こちらに向かって来ている。
『晋助さん!』
彼の腕を掴んで振り向かせた。
「どうした」と言うように私を見つめる彼の首に腕を回し、自分の胸の中へ引き込む。
晋助さんの顔を隠すように私の腕で包み込んで、息を殺しながら彼らが通り過ぎるのを待つ。
役人は私たちになど目もくれず、遠ざかっていく。それに安堵するも、つかの間、今私がやっていることが恥ずかしいことだと思い知った。
『あ、あの、ごめんなさい!』
彼から勢いよく距離をとり、熱くなる頬を冷まそうと、キョロキョロと周りを見回す。
しかし彼は、私の頭にポン、と手を乗せた。
『ありがとな』
数回そこへ落としてから、また歩き始める。
心なしか、彼の顔は優しそうに見えてしまった。
やっぱり、好きなのかもしれない。私は、晋助さんのことが。……でもきっと、伝えるべきではないから、押し殺さなくてはならなかった。
もし、それすらも彼の作戦だったとしても、私はきっと晋助さんのことを恨めないのだろうな。
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月城碧 - ハルさんすごいです!私も高杉が大好きなのですがもうキュンキュンしまくりです!最初は愛なんてなかった…ていう所からの展開が凄すぎる!もう一気に高杉をもっと好きになるとともにハルさんのファンになりました! (2018年12月4日 17時) (レス) id: de7306413f (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 銀皐月さん» さっつんの言った通り早いですね! 本当に! 高杉への愛を詰めるだけ詰め込んでいる作品なので、終わりが早いと呆気なく思ってしまいます( ; ; ) 続編も頑張ります! 応援ありがとう! これからもよろしくね!( ´ ∀`) (2017年8月11日 9時) (レス) id: 3c0de761a5 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - エラさん» おはようございます! それはそれは、どうもありがとうございます!! 両方好きだなんてとっても嬉しいです( ´ ∀`) 続篇、本日出しますのでどうかお楽しみに!! 閲覧とコメントをありがとうございました! (2017年8月11日 9時) (レス) id: 3c0de761a5 (このIDを非表示/違反報告)
銀皐月(プロフ) - ハルー、恋は白い薔薇のようで完結おめでとう!
早いね、もう3弾いっちゃうよ。高杉好きだからこそ、泣くよね。愛がない結婚からの愛。泣くね。号泣だ。
黄色い薔薇も頑張ってね! (2017年8月10日 20時) (携帯から) (レス) id: 5de9376b0f (このIDを非表示/違反報告)
エラ(プロフ) - こんにちは!いつも楽しませてもらってます!サドリーマンも好きですが、薔薇シリーズも大好きです!「別れは、黄色い薔薇のように」も楽しみにしています♪頑張ってください♪ (2017年8月10日 14時) (レス) id: ad6183f351 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年7月23日 10時