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しばらく歩いていたが、自分の胸の違和感に気付く。締め付けられるように苦しく、息をするのが辛い。
浅い呼吸しかできないため、酸欠になってしまう。やはり人混みがいけないのだろうか。
せっかく連れて来てもらった祭りだ。
我慢すれば大丈夫だと自分に言い聞かせ、晋助さんの後を追いかける。
しかし、不意に振り向いた晋助さんと目が合う。彼は立ち止まり、私と一歩距離を縮めた。
『どうした』
私の側頭部へ手を添えて、真っ直ぐに見つめてくる。晋助さんから顔を逸らせなくなり、何かを言おうと口を開くも、か細い吐息しか出てこない。
その時、またちゃんから渡された薬があることを思い出す。それを帯から抜き取るが、飲もうにも飲めない状況だ。
『水持ってくるから待ってろ』
晋助さんは私を近くの石垣の上に座らせ、何処かへ行ってしまう。「行かないで」と思わず出てしまった息は、彼に届かずに風と祭りの音に紛れ混む。
胸を浴衣の上から握りしめ、大きく息をしようと頑張るが、出来ずに身体が震え始める。私の目尻からは一筋二筋と涙が零れ、浴衣の上に落ちていった。
瞼が落ちそうになったその時、肩を掴まれる。
顔を上げれば晋助さんがいて、「しっかりしろ」と声をかけられた。
それに頷き返し、彼の持っている水の入ったペットボトルを受け取る。
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月城碧 - ハルさんすごいです!私も高杉が大好きなのですがもうキュンキュンしまくりです!最初は愛なんてなかった…ていう所からの展開が凄すぎる!もう一気に高杉をもっと好きになるとともにハルさんのファンになりました! (2018年12月4日 17時) (レス) id: de7306413f (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 銀皐月さん» さっつんの言った通り早いですね! 本当に! 高杉への愛を詰めるだけ詰め込んでいる作品なので、終わりが早いと呆気なく思ってしまいます( ; ; ) 続編も頑張ります! 応援ありがとう! これからもよろしくね!( ´ ∀`) (2017年8月11日 9時) (レス) id: 3c0de761a5 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - エラさん» おはようございます! それはそれは、どうもありがとうございます!! 両方好きだなんてとっても嬉しいです( ´ ∀`) 続篇、本日出しますのでどうかお楽しみに!! 閲覧とコメントをありがとうございました! (2017年8月11日 9時) (レス) id: 3c0de761a5 (このIDを非表示/違反報告)
銀皐月(プロフ) - ハルー、恋は白い薔薇のようで完結おめでとう!
早いね、もう3弾いっちゃうよ。高杉好きだからこそ、泣くよね。愛がない結婚からの愛。泣くね。号泣だ。
黄色い薔薇も頑張ってね! (2017年8月10日 20時) (携帯から) (レス) id: 5de9376b0f (このIDを非表示/違反報告)
エラ(プロフ) - こんにちは!いつも楽しませてもらってます!サドリーマンも好きですが、薔薇シリーズも大好きです!「別れは、黄色い薔薇のように」も楽しみにしています♪頑張ってください♪ (2017年8月10日 14時) (レス) id: ad6183f351 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年7月23日 10時