勘違い_4 ページ20
『6年前のことだって、
何で降谷に話したのか、分からない…
弱みなんて、見せたく、なかった…
…スノードロップが私らしいなんて、
冷たいヤツだって言えば良いのに、あんな風に回りくどい言い方だって…
なんで、そうやって降谷にばっかり…』
Aは、
悔しそうに、まとまらない感情と戦う様に、
少し瞳を揺らしながら言葉を吐き出した。
降 「…それは…。
…似てると思ったんだ。あの写真の、スノードロップが。
春宮に。」
『…似てる?』
降 「小さくても、しっかりと咲いてる。その感じが。
雪の中で咲く、白くてどこか凛とした感じが。
それを、春宮が勘違いしただけだ」
『…え?』
降谷がポツリとこぼしたのは、
あの時、Aにも、景光にも言わなかった言葉。
スノードロップが、なぜ、Aらしいと思ったのか。
何となく、というだけだった。
論理的な説明にはなっていない、と話すと、
景光には、難しく考えすぎだと笑われた。
降 「それに、弱みを握ったなんて思ったことはない。
あの日、熱がある春宮に気づけたとはいえ、何も出来なかったんだ。
誰かに話した訳じゃないし、
体調を崩した春宮のことを悪く思ったことはない。」
『…』
降 「…あの夜に聞いた、6年前の、
春宮の両親のことだって、
春宮がそうしろというなら、忘れるさ。
でも、弱みを握ったと思ったことは、ない。
春宮は弱点だと言っていたが、俺はそうは思わないし、
そうだとしても、あの日言った様に補い合えば良いだけだと、思ってる。
春宮は...、
寄りかかるだけなんて出来ないと言っていたし、
それも理解できる。
でも、寄りかかって良いこともあるんじゃないかと、今はそう思う。
春宮が前にそう言ってたからだ。」
『…』
真剣な降谷の言葉を、
Aは、少しだけ唇を噛みながら聞いていた。
降 「俺は、全部、一人で出来なきゃいけないと思っていたのは確かだ。
花火大会の時、春宮が言ってただろう?
降谷はそうなりたいのかもしれないけど、って。
誰かを頼りたくない、という訳じゃない。
松田や、萩原、伊達。それに…景光。
アイツらに助けられている部分だって、当然…ある。
でも、
この国を守る警察官として、技術、知識、体術、全てを身につけて、
高めて極めていくべきだと。
でも、あの夜。
花火大会の夜。
春宮の言葉を聞いて、少しだけ考え方が変わった様にも思う。」
『…何、なのよ…』
急に真剣に話し続ける降谷に、
Aは戸惑い始めた。
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white12(プロフ) - ra -ra さん» コメントありがとうございます。SNOW DROPは,拙いながらも私自身けっこうお気に入りでして,警察学校組好きが溢れた作品でした。お楽しみ頂けていたなら本当に嬉しく思います。 (2021年5月26日 21時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra -ra - やばい。何度読んでも面白い! (2021年5月18日 16時) (レス) id: 4001d860f3 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - 燎彩さん» とても嬉しいコメントありがとうございます!最高と言っていただけて本当に嬉しいです。長くはなりますが、続編 (II)も更新中ですので、もし宜しければお楽しみ頂けますと幸いです。 (2020年1月23日 13時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
燎彩(プロフ) - 完結お疲れ様でした!語彙力皆無なので一言だけ…最高です!! (2020年1月22日 11時) (レス) id: c873624ead (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - さちさん» 本作をお読み頂きありがとうございました。面白かったと感じていただけてとても嬉しいです。もしよければ続編もお楽しみ頂ければ幸いです。 (2019年11月18日 23時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2019年9月1日 9時