生まれ変わっても私はこうなる運命だった１ ページ1
「生まれたわ！」
はいそーですか、おめでとうございます！と、私は他人事のように祝福をした。
「……白いな。肌も、髪も」
「そうね。この色、お姉さまに凄くよく似ているわ。わたしの大好きだったお姉さまに…」
お姉さま？白色？不吉なワードが聞こえてきた気がして、ぼやけた視界に映る物を見た。
「……あぅう！？」
そこには、私のかつての妹、ルシアの姿があった。もしかして私、転生しちゃったの？ルシアの娘に。
オギャー、オギャー…
私の意思とは関係なく、昔なら絶対に出せなかっただろう大声が出てくる。
「この子、泣き声が小さいわ…」
ルシアの心配そうな声を聞いて、私の意識はプツリと途切れた。
どうして！？よりにもよって、ルシアの娘に転生しちゃうなんて！私、前世では大人しく深窓の令嬢してたつもりなんだけど…
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ヒルダ、どうしたの？何か良い物あった？」
あれから二年が経ち、私は不健康にすくすくと育った。矛盾だらけの文章だが、一応身長も体重も平均値だ。しかし、私は少し日常生活に支障が出るような体質だった。
目の色も、髪の色も、体の弱さも前世と同じ。
妹のルシアは、私の没後、隣国の王子と結婚して幸せに暮らしたようだ。その王子は自ら王位継承権を破棄し、公爵家の当主として娘の私にデレデレしながら平和な日常を送っている。
「お母様、私、外に出たい！」
「駄目よ。あなた、太陽の光に当たったら倒れちゃうでしょう？」
「や〜だ！！お日様が沈んだ後に出れば良いんでしょ？一緒にお外出る！」
「仕方ないわねぇ、気分が悪くなったらすぐに言うのよ？」
私は月に一回、満月の夜に散歩に出る。私はその特別な時間を『月夜のお散歩』と名付けた。
私は神秘的な月が大好きだった。太陽の光を反射して光っているだけの月は、どうしても太陽より下に見られるが、毎日少しずつ形を変える月が、私は大好きだった。
「……ルシア、ごめんなさい。私、本当は貴女の傍にいる資格なんてないわ」
すぐ傍にいるルシア…お母様にも聞こえないような声で、私は呟いた。
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作者名：よお | 作成日時：2020年4月28日 17時
