透明な君と【Fischer's】 (ページ19)

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じゅうきゅうページ19

窓から差し込む柔らかい光で目が覚めた
隣で眠るAさん

普段は見せてくれない
真っ白な二の腕が覗いていて

行為をしたことを実感した
純粋無垢で透明なAさんが

俺色に染っていくようで嬉しかった
化粧は落としてあるはずなのに

ほんのり赤い頬を撫でると
大きな目をゆっくりと開いた

ﾓﾄｷ「おはよう」
貴「え、モトキくん服…あっ…」

俺が服を着ていないことに驚いたみたいだけど
昨日のことを思い出したようで

ピンク色の可愛らしい掛け布団を
頭から被って隠れてしまった

ﾓﾄｷ「Aさん可愛かったよ」
貴「思い出させるのやめてよ…！恥ずかしいから…！」

ひょこっと顔を出して目に涙を溜めている
それを笑うと頬を膨らませた

ﾓﾄｷ「昨日は気付かなかったけど本すごいね」
Aさんの家の間取りは

シルクたちが住んでいたマンションに似ていて
リビングともう一部屋あって

ベッドはそちらに置いてあり
そのまわりには壁を埋めるような量の本

貴「そろそろ置くところが無くなっちゃう」
いつの間にか服を着ていたAさんを横目に

俺も服を着ながら
まるで本屋のようなその部屋を眺めた

貴「モトキくんは…何人と付き合ったの？」
可愛い質問に頬が緩むのを感じながら

ﾓﾄｷ「Aさんで二人目」
そう答えると少し複雑そうな顔をしていて

嫉妬してくれているんだろうか
そう考えて嬉しくなる

ﾓﾄｷ「俺から告白したのは…Aさんが初めてだよ」
勢いよく顔を上げたAさんの目は見開かれていた

ﾓﾄｷ「本当は言いたくないけど、その人と付き合ったのは中途半端な気持ちで…告白されて曖昧な気持ちで付き合ったんだけど、見透かされて振られたんだよね」

振られたときも全然ショックじゃなくて
だから知らなかったんだ

好きな人の告白するのが
デートに誘うのがこんなに緊張するものなんだって

その時の彼女には悪い事をしたな
なんて今更思っても仕方ないことを最近思ったんだ

Aさんを見れば嬉しそうで
そんなAさんが愛おしかった