【歌い手】今宵、狐は過去を話す。 (ページ7)

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「お前、元孤児だろ。んで、園長に売られて、裏で散々暴行受けたって感じだな。」

病院につれていってもらい、結果は栄養失調。他は何もなかったらしい。その後、男の家で事情聴取の真っ只中。正直、何処からどこまで話していいのかわからない。

『なんで、僕を買ったの。』

「ちょっと良いこと思いついたから。」

男の返答は、なんとも可笑しなものだった。けど、男は真剣という表情で、まっすぐな目で僕を見る。

『それ、何…？』

「俺の店で働いてよ。」

『……店…？』

男が僕を買った理由が、自分の店で働いてもらうため？なんで。僕を買うお金はあるのに、お店は儲かってないの？

「なんだよ。そんな不思議そうな顔して。」

「お前には申し訳ないが、この業界で生きていけそう、って確信持っちまったんだよ。」

この業界って、なんのこと？生きていけるとか。後々、消えるの？

『…どんな、仕事…？』

「ホストって、聞いたことあんだろ。」

ホスト女性相手に、会話したりとかお酒飲んだりとかの？なんで？僕がホストの世界で生きていけるわけない。

「お前は、まだ餓鬼だからボーイからだな。さてと、明日から出勤だぞ～」

話の展開が早すぎて、あんまり追い付けていない。僕が、ホスト？あまりにも、可笑しな話だ。

『…はい。』