【歌い手】今宵、狐は過去を話す。 (ページ6)

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「第25回人身オークション開催です！！まず始めに、それぞれの写真とプロフィールをだします。」

陽気なMCの言葉で、観客がざわめきだす。どの子が良い。売りにだす。そんな言葉が耳に入る。

「それでは、No,27の孤鳴君に出てきてもらいましょう。」

MCが言った後、鎖に繋がれた手足が思いきり引っ張られてステージ上に立たされる。

棚田のような、観客席には、綺麗な服を着た男女。でも、皆仮面をつけて、同じ色、形をしたバッチをつけてる。

「この子は上出来ですよ～！！さぁ、いくらで落札するのか。でも、皆さんそろそろ足りないんじゃないですか？」

MCが皮肉を混ぜたように言うと、客は喧嘩を買ったかのように目の色を変えた。

その目は、狂喜に満ちていて、買った人間をどう使うか、楽しそうに考えてるようだった。

「それでは、スタート！！！」

「1000万！！」

「2500万！！」

次々と出てくる高額な値段。そんな大金の価値、僕には無い。

「9000万！！」

「9500万。どうだ？」

9000万の大金を出されて、客はもう無理だと言うように、顔をしかめ、迷っている時、一人の男が声をあげた。

「それでは、紫の仮面の若いお兄さんの落札です！！！！おめでとうございます！！」

MCが、一段と甲高い声でそう叫ぶ。と同時に、僕を落札したらしき男が近付いてくる。

「お前、立てるか？それと、病院行くぞ。」

『……ﾊ、?…』

病院に行く意味も、何もかもがわからないまま男についていく。