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「…ごめん、なさい。」
恐らく本音であろうことを話してくれた福本さん、あらため、初恋の相手せーちゃんに、１番に出てきた言葉はこれだった。
「謝ってほしくて言ったわけやない。」
そう淡々と返すと
「すみません廉さん、なんの御用でした？」
さっきまでの、せーちゃんの顔から福本さんだった時の顔に戻って、私から顔を背けた。
「え、福本それだけ…？」
兄が問いかけても、なんの返答もない。
私はそれにひどく傷つき、無意識に唇を噛む。
廉は今までに見たこともないただ驚いた表情をしていたが、私のその行為を一瞥すると、いつものゆるい笑みを浮かべた顔になり、
「A。」
私の唇に指を這わし、私のその行為をやめさせた。
廉と目が合ってしばらく時が止まったようだった。
「久しぶり。」
「…そう、ね。」
「よかった、元気そうで。」
「大晴。」
「はい。」
「もうAとの話は済んだ？」
「…はい。」
「じゃあ、このままちょっと借りてええ？お前への用も、こいつへの伝言やったし、直接言うからもうええよ。」
「…かしこまりました。」
「あとごめんやけど、この部屋も借りる。
あいつの目が心配やから、俺の部屋へは連れてけへんから。」
「……はい、今すぐ出ていき
「別に聞きたかったら聞いてもええ。
ただ、俺らがなにしようと、絶対に邪魔はすんなよ。」
そう言って、廉が私の肩を手を回し、すっと抱き寄せた。
それを見た、せーちゃんは苦虫を噛み潰したような顔をすると、さっと部屋から出て行った。
残された私と廉と、兄。
兄が明らかに、廉の腕を睨んでいて、それに気づいた彼は
「はじめまして、この屋敷の吉岡と申します。
Aさんと福本くんには大変お世話になってます。」
そう、私の身体を離しながら答えた。
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作者名：ゆう
| 作成日時：2017年9月6日 19時
