第27話 ページ29
大きな家の壁が、太陽の光に照らされて白く輝いている。
明るく開放的な住宅街の風景は、10年経った今でも変わっていなかった。
実は事前に色々と準備があって、豊城家に着物を取りに行ったり、琴を調整に出したり、ダンスレッスンや作曲をしたり…と慌ただしい日々を送っていた。
忙しかったけれど、その分藍ちゃんの事を考える暇がなかったのはホッとしていたりする。
今回、1週間アメリカにいる間に、藍ちゃんへの気持ちには区切りをつけようと思っていた。
藍ちゃんの事は好きだ。
自分の気持ちを自覚したときから、もしかしたら気づかないふりをしていただけで、その前からそういう気持ちがあったかもしれない。
けれど彼はアイドルであり、しかもうちの事務所は恋愛禁止。学園時代からその厳しい規則は変わっていない。
アイドルは、みんなに愛されてこそアイドル。もしこの気持ちを告げて、藍ちゃんがアイドルをできなくなったら…。
もう、ステージに立つみんなを見て、静かに涙することも、心臓が張り裂けそうなほどの高揚感に包まれることもないのかもしれない。
カルテットナイトが、カルテットナイトでなくなってしまうかもしれない。
それなら私は、どんなに辛くてもいい。いちファンとして、作曲家として、支えていく方を選びたい。
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空藍(プロフ) - お気に入り、いいねしてくださった方々ありがとうございます!これからも是非この作品をよろしくお願いします(*´∇`*) (2017年8月29日 7時) (レス) id: dbe2d85142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ai | 作成日時:2017年6月10日 21時