【黒子のバスケ】夢、そして・・・〈紫原敦〉 (ページ1)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:267 hit

１ページ1

『・・・』

その日、○○は朝からボーッとしていた。原因は今日見た夢の所為。

―「オレには好きな人が居るから」―

大好きな彼が言ってくれた、あの言葉が忘れられない。夢なのに、とても新鮮に覚えている。

(嬉しかったなぁ)

少し頬を染めながら、教室へと続く階段を上がり角を曲がる。

『きゃあ！』

前方不注意。曲がった瞬間、誰かとぶつかってしまった。何てありきたりなパターン・・・。

「あ、ごめーん。大丈夫―？」

のんびりとした口調で、よろめいた体を支えてくれた。

『・・・っ！』

相手の顔を見ずとも、声でわかる。この声は、今朝夢で会った人。そして、○○が密かに想いを寄せる人。

『紫原君・・・っ！？』

ニッコリとこちらを見てくる紫原に、○○は顔を真っ赤にする。紫原の夢を見た事。今正に紫原の事で思いにふけっていた事。これらが○○の体温を上昇させる。

「って、アラー？○○ちん、どうしたのー？顔真っ赤じゃーん。熱ー？」

心配な表情になった紫原が支える腕に力を入れ、どんどん顔を近づけて来る。

『ひゃあ！？』

恥ずかしさの余り、○○は上ずった声を上げ、紫原から離れた。だが、紫原はその事が気に入らなかったようで、プクッと頬を膨らませた。

「むぅ・・・。何も逃げる事ないじゃん。おでこくっつけて、熱測ろうとしただけだし」