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『お邪魔しまーす』
「いらっしゃーい」
休日の日、紫原の家に遊びに来た○○を、自分の部屋へと案内する。
「○○ちん、○○ちん」
自分の部屋へ来るなり、ベッドへ腰掛けた紫原は、こいこいと○○を手招きする。
とりあえず、「来い」と言っているようなので、○○は紫原の側へ寄る。
「ん・・・」
近くに来た○○を自分の膝の上に乗せると、ギュウッと○○を抱き締めた。
『ちょっと敦!?急に何!?』
「膝上抱っこ?」
『そうじゃなくて・・・』
「オレ、○○ちんを抱き締めていると、すげー落ち着く・・・」
そう言って紫原は○○に頬ずりした。
スリスリ。スリスリ。
『・・・・・・・!』
膝の上に乗せられるわ、後ろから抱き締められるわ、頬ずりされるわ。もう既に○○の心臓は破裂しそうだ。
この状況をどうにかしないとと思い、必死に思考を巡らせる。
(そうだ!)
○○はポケットに手を入れ、そこに入れておいた物を取り出す。
『じゃーん!』
「あ、お菓子・・・」
ポケットから取り出したのは、飴玉と一口チョコを数個ずつ。それを見た紫原の目は輝いた。
「ちょーだい?」
お菓子へと手を伸ばしてくる手から、○○は手を引っ込め、お菓子を守る。
「・・・・・・・」
ちょっと寂しそうな目で○○を覗き込んでくるが、○○はそれを無視した。
『この手を放して、膝の上から下ろしてくれるなら、全部あげるよ!』
本当は最初から全て紫原にあげるつもりで持って来たのだが、今ここで使うしかないだろう。使えるアイテムは、全て使う。
「全部・・・?」
紫原は○○とお菓子を握られている手を交互に見た。
「うん・・・。あ、でも・・・。ん―――・・・」
悩みながらも、○○を抱き締める腕は緩まない。しかし、紫原はお菓子が好きだから、たぶん○○ではなくお菓子を取るだろう。そう悲しい想いで、○○は思った。
「お菓子いらない」
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作者名:桜輝 | 作成日時:2020年11月13日 18時