甘い物 ページ1
「春ってポカポカして気持ちいいよねー」
今日のデートは天気もいいし、外でデートをする事になった。そして二人がやって来たのは公園。フカフカした芝生の上に、紫原は寝転がった。
『そうだね』
その隣に○○が座る。二人は特に何をするでもなく、しばらくのんびり過ごしていた。
「・・・・・あの雲ってさ」
ふと口を開いたのは、ずっと空を見ていた紫原。
「何だか綿飴みたい」
『え？』
そう言われて、紫原と同じように空を仰ぐ。空には白い雲が浮かんでいて、見方によっては確かに綿飴に見えなくもない。
「フワフワしてさー。あれだけ大きな綿飴にダイブしてみたいなー。そんで、ゴロゴロ寝転がりながら綿飴食べるのー」
ニコニコと楽しそうに話す紫原に、○○はクスッと笑った。発想が、何とも紫原らしい。しかし、食べ過ぎて地上に落下するかも・・・とか思ったが、紫原の夢を壊さないよう、ここは敢えて言うのを止めた。
「あ〜あ。甘い物が食べたくなったー」
『私、お菓子持ってるよ』
はい、とバッグから箱に入ったチョコを差し出す。
「んーんー。オレが欲しいの、これじゃなーい」
と紫原は首を横に振った。
『え？・・・えっと、後は・・・』
後はポケットに入っている飴しかない、これも差し出してみたものの、先程と同じように首を横に振った。
「あるじゃん、もっと甘い物が・・・」
上体を起こすと、紫原は○○に顔を近付けて来た。それで紫原は何が欲しかったのか、直ぐにわかった。
「ん・・・」
(やっぱり・・・)
目を閉じて、○○は紫原の口付けを受け入れた。
「へへっ」
優しく触れるだけの口付けをした後、唇を離した紫原は、ほんのり頬を染めて満足そうに笑った。
『も〜』
二人で笑い合う、そんな甘くて幸せな時間を日が暮れるまで過ごした。
END
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作者名：桜輝 | 作成日時：2018年11月10日 22時
