【ジョジョ】転生したら杜王町にいたんだけど。 (ページ12)

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12.私だけの時間ページ12

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銀色の懐中時計を手に持ち、竜頭を押してAは文字盤を見た。時計の短針が、正確に時を刻む。時刻は5時15分であった。

学校が終わり、放課後となったある日の夕方。

あの出来事から何日か立った後、Aの心は緊張がほぐれ始めていた。いや、緩み始めていたと言ってもまちがいではない。

普通の高校生のような暮らしは、あの日の出来事を忘れさせようとしているようだった。彼女自身も、その記憶を排除しようとしていたのかもしれない。

しかし、運命の歯車は確実に動き始めていた。

「勉強したくないなー、どっか寄り道したい！
けど今度のテスト落としたらやばいんだよなー。」

勉強嫌いの犬童は愚痴をこぼした。

『散々赤点取ってたんだから、勉強しなさい。』

「猫ちん、お母ちゃんみたいやね………。」

いつものように、雑談しながら帰る途中だった。

「あれ？」

犬童は違和感に足を止めた。

『犬童、どうした？』

「ここのよー、コンビニの横に小道なんかあったっけな？」

犬童が小道を指差す。Aはその小道を見て、ハッと気がついた。

『いや……、本来はなかったはず。』

この小道は、杉本怜美のいる振り返ってはいけない道である。一瞬にして理解することのできたその情報は、Aの好奇心を揺さぶった。

「え、どゆこと？」

『犬童、先帰っててくれない？勉強しないとやばいんでしょ？』

「そうだけど……、まさか、猫ちゃん一人で行く気？」

犬童は、始めは止めようかと思っていたが、彼女の好奇心に満ちた目を見て、これは止められない、と悟ったのだ。

「んー、分かったよぅ。でも気をつけてね。なんか変な人に遭ったら逃げてよ？」

『分かってる。』

「あ！あと、何があったとか、明日教えてね！」

『もちろん、私の記憶すべて話すつもり。』

「よしOK！じゃ、また明日。」

『うん、お疲れさま。』

犬童と別れ、彼の背中を数百m先まで追ったあと、例の小道に目を向ける。
その小道を歩いていくと、ポストと犬の糞があった。

『やっぱり、あの場所で間違いない……！』

確信を得た彼女は、何度かこの道を歩いてみることにした。そしてやはり、同じ場所に戻ってくる。

『ほんとに、どうなってるんだか………。』
　

不思議に思っていると、背後に何かしらの気配を感じた。

「あなた、道に迷ったの？」

そう、声をかけられた。