標的193 「初任務をこなして行く」 ページ1
「……まぁ、知らねぇならいい」
『そ、そうっすか』
漸く口を開いたと思ったら彼からそんなことを言われる。
明日の任務は昼からだと残して立ち上がったスクアーロ。その表情は、いまだに硬いままだった。
『ん……朝か』
目が覚めたのは午前八時半。昨日考え事をしていたせいで少々遅いが、許される範囲であろう。歯を磨いて、少し悩んだが無難にシャツと黒パンツを着て廊下へ出た。
とりあえず、談話室に行こうと歩いていれば、正面からマーモンがふわふわと向かってくる。
「おはよ、A」
『おはよ』
「よく眠れた？」
『うん。お気遣いありがと』
「ルッスーリアが談話室に来てって言ってたよ」
『わかった』
「じゃ、僕は任務だから」
またね、と言って去って行ったマーモン。
多分彼がこの集団で一番まともに会話ができるナンバーワンだと思う。
つか、一番まとも。
「おはよ、Aちゃん」
『ちょっと寝坊だけど』
「ベルちゃんより全然よ」
確かに、王子は早起きムリだしとか言ってそう。
いまパンケーキ焼いてくるわね〜とエプロンつけながら奥に引っ込んでいったルッスーリア。昨日はクッキー焼いてたけど、やっぱりそういうの得意なのね。
数分ほどで焼き上がったパンケーキとジャム、メープルシロップ、牛乳を持ってやってきたルッスーリア。ありがたくもぐもぐと食べる。美味しい。
「スクちゃんに聞いてると思うけど、今日はアタシと任務ね」
『んぐ』
「あ、食べながらでいいわ。難しいことでもないし」
昼から出発して戻ってくるのは夕方。イタリア国内での任務のためそんなにドタバタして行くこともないらしく、暗殺対象も三人。
「初任務がつまんなくてごめんなさいねぇ」
『いやいや。ごちそうさまでした！』
「はぁい、お粗末様でした」
朝から美味しいもの食べれて最高でした。
午後二時三十七分。
右耳の無線機からルッスーリアの声が聞こえてくる。
〈準備はいいかしら？〉
『おう』
〈じゃ、爆破するわよ〉
『Si』
爆音とともに標的の前に躍り出て、瞬時に首を掻き切った。
『任務完了』
「ほんっとに仕事が早いのよ〜、秒だったわぁ」
『褒めすぎだって』
「余った時間でショッピングしちゃったもの」
もう最高とはしゃぐルッスーリア。その話を聞くのはスクアーロとベル、マーモンと俺の四人。レヴィは任務に出かけて行き、ボスは自室だ。
「さっすが仮面の天使。レヴィの次は王子とやってみる？」
『ご勘弁を』
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りお(プロフ) - こんばんは、いきなりのごめんと失礼致します！とっても面白かったです、作者様のこの作品を見つけて一気読みしてしまいました！こんな素敵な作品ありがとうございます。次の更新も楽しみにしております！ (2021年6月30日 23時) (
レス) id: 02a06a9e06 (このIDを非表示/違反報告)
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