4.Crazy for you! ページ4
『日向大和さんと、天草シオンさんでーす!』
そう告げられると、観客席から歓声が上がる。
そして、画面に2人が映し出され、やっと彼が声を発した。
「あぁ・・いきなりテレビつけてゴメンな、Aちゃん」
大丈夫ですよ、と私は告げる。
「それはやっぱり、録画しとこか。リアルタイムで見るのもええんやけど」
そう言って、彼はリモコンの録画ボタンをポチッと押し、テレビを消し、しばらくまた考え込むような仕草を取ってから、「お風呂入ろか、Aちゃん」と告げてきた。
先ほどのあれは何だったんだろう・・?と私が考える暇もなく、彼は優しい声色で、「先入ってきてぇな」とどこか妖艶な眼差しでこちらを見てきた。
生唾を、私は少しだけ飲み込む。
変な汗まで出てきているような気がする。
「Aちゃん、疲れとるやろ?」
彼のすごいところ。それは、オンとオフの違い。いきなりスイッチが入ったりするし、そんな時、私は主導権を握った試しが、一度たりともない。そして、オンとオフの切り替えが早すぎて、いつも私は惑わされてしまう。
分かりました・・と、私がそう言うと、「Aちゃん、ゆっくり浸かっておいでぇな」と、彼は言う。ついでに、「Aちゃんがあがってきたら、Aちゃんの好きな映画でも見れるようにしとぉから」と言う言葉も添えて。
簡潔に結果を述べると、私のお風呂タイムはいつもと何の変わりもない、ごく普通の入浴で、体や髪の毛を洗ったり、お風呂の中で多少考えことをするだけで、何のイベントも無かった。
決してなんらかのイベントを期待したというわけでは無い・・というと、嘘になるかもしれない。
私がお風呂から上がり、湯気を体に纏わせた状態でリビングに行くと、すでに彼はソファに囲われたテーブルの上に少しつまめるくらいのおつまみと、飲み物を準備していて、テレビにはいつでも映画が見られるように準備されていた。
貴方はお風呂に入らなくても良いの?という私の質問。
「同居とはいえ、Aちゃんが入った直後のお風呂に入るんはアレやし・・。それに、この時間帯にしかできんことしたいし、な」
そう言って、彼はソファに目線を移す。
映画鑑賞、彼と2人っきりで、少しのお菓子と飲み物を飲みながら。
「Aちゃん、こういうん好きちゃうん?もし違っとったらごめんやけど」
少し残念そうに眉毛を下げる彼。
私は、彼の隣のソファに腰掛けた。
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作者名:抹茶&ナミネ☆ | 作成日時:2017年6月21日 14時