《あんスタ！》失われた輝きと、囚われの舞姫。(明星スバル) (ページ9)

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第五章ニ舞ページ9

普段ならば、俺が避けるであろう暗く狭い旧父の部屋を綺麗に掃除して、軽く麻縄で彼女を縛る。
絶妙に痛くならない方法を編み出したと言うと大袈裟だが、彼女の身体に傷をつけぬ様に、出来るだけ抵抗できぬ様に縛った。
正直寝顔が可愛過ぎて縛るのに躊躇したが、縛っていないと暴れるのが定番と言ってもいいくらいだ。それにこの状況に肯定できる人などいないに等しい。寧ろ肯定してくれない方が反応には困らない。
日用品をちゃんと買って来たいところだが、女の人に紛れていくのは死亡フラグ………女装したらいける？いいや、今彼女が起きれば大変だ。ある程度安心できる状態までは離れない方が良いだろう。
「やっぱり綺麗な寝顔だなぁ…。」
キラキラと言うより、美麗と言う言葉が似合いそうな寝顔だ。
頬をつんつんと突いてみる。
「ん…らめぇ…。」
擽ったそうに彼女は声を出す。寝惚けてはいるものの起きてしまった様だ。
「おはよう！A！」
「…ここは…？」
彼女は不思議そうに辺りを見渡した。
しかし、俺を見つけた瞬間ビクリと肩を震わせ後退する。
「来ないで下さい…！」
彼女はおびえた瞳をこちらに向けながらブルブルと脚も震えている。
「無理だよ。」
静かに自分の堪忍袋の尾が切れて、怒りの含まれた言葉が俺の口からボソリと吐き出された。
「え…？」
彼女の足の震えが止まったと思えば、その美しい瞳に俺が一瞬綺麗に映り込んだ。多分憂いを含んだ表情を無意識に向けていたのだろう。
「…Aは俺の彼女でしょ！！！」
思ったよりも大きな声が出たせいで、彼女はまた脚を震わせ怯えた目で此方を見つめる。
「…………私はあなたの彼女ではありません…！成りたくもありません！
私はまだやらなきゃいけない事が沢山あるのに何故ここで時間と手間を掛けなきゃいけないんですか！？
とっとと出してください！

…

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