3 ページ4
私には恋人が居た。最初は体だけの関係だったのだけれど、いつの間にか本当に愛し合う事のできる稀有な関係になった。あの頃は、幸せだった。勿論、今が幸せでないという意味では無いのだけれど。
寧ろ客観的に見たのなら今の方が確実に健康的で幸せなのだろう。
でも、私は彼を棄てて
その罪悪感は今でも私の真っ黒な腹の、心の、その奥底に眠っていて、時折夢となって現れる。私はあんなに酷い事をしたのに、彼は決まって優しく微笑んでいる。其れが1番堪える。
まあ実際の彼はそんな優しい人物ではないのだから、自分の脳内でどれだけ彼が美化されているのかは推して測るべし、という訳である。
「…やだなあ、私ってば未練たらたら」
そう、職場の階下にある喫茶店で珈琲を飲みながら零すと、同僚の国木田独歩君に凄い目で見られた。
何と言うか……私ってそこまで信頼がないものなのかしらん。悲しい。
「また女性を心中に誘ったのか?全く…お前と言うやつは…」
国木田君の口からつらつらと紡ぎ出される小言に黙って首を振る。
未練=心中振られた、と結び付けられるの、なかなか悲しいねぇ。寂しいねぇ。
「ふふふ、女性ではないよ」
嘘ではない。確かに彼は男だった。
「は?…じゃあなんだ」
解せぬ、とでも言いたげな国木田君ににっこりと微笑んで言葉を返した。
そう、こういう時は自信たっぷりに返すのが1番効果的だ。
「んー、私の昔飼ってた犬だよ」
15歳の私は彼の事を「犬」だと称した。其れからこの呼称は定着したんだけど…ね。うん。
今考えるとかなり可哀想だよね。犬って。
今更やめるつもりも何も無いのだけれど。
まあ使い途としては行為中に煽る位しか無いけどね。
177人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
椿(プロフ) - /miharu/さん» リクエストありがとうございます。了解致しました。織田作と太宰の話ですね。わ、すみません。受験合格致しました有難うございます。まだかなりごたついていて更新が滞りそうで申し訳ないです…。 (2020年3月4日 17時) (レス) id: e4b31c2906 (このIDを非表示/違反報告)
/miharu/ - 3回目のリクエストになりますが、よろしいでしょうか?織田作と太宰さんの話お願いします。あと、受験お疲れ様です。 (2020年3月4日 17時) (レス) id: 6324e2b393 (このIDを非表示/違反報告)
椿@受験1週間前につき低浮上(プロフ) - 匿名さん» お久しぶりです。リクエスト、ありがとうございます。お花見、若しくは海水浴ですね。了解致しました。現在私事では御座いますが数日後に受験を控えており暫く更新が出来ませんことをお許しいただけると幸いです。リクエストありがとうございます。 (2020年2月6日 3時) (レス) id: 8c21d37533 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 最初の時にリクエストさせて貰った者です!書いて貰ったリクエストのお話今でも何回も読んでしまうほど気にいってます!なので又、リクエストお願いしたいんですけど中也さんとお花見もしくは、海水浴のお話を書いて貰いたいのですが、お願い出来ますか? (2020年2月5日 22時) (レス) id: 469b1b59df (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - /miharu/さん» わわ、ありがとうございます!またも強引にまとめてしまって申し訳ないです…。リクエストありがとうございました!まだまだお待ちしていますので是非! (2019年12月9日 17時) (レス) id: e36d1c7298 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:椿 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/3d9bdea2451/
作成日時:2019年5月31日 23時