告白（仮）されたからって甘い雰囲気になる？【歌い手】

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『……はぁぁぁ』

RiKuの録音部屋で、編集作業を終えた私が背中を伸ばすと鈍い音が響いた。何時間も同じ体勢で集中していたせいか、これからパーティーだと言うのに身体中が凝り固まってる。
部屋に置いてあるアナログ時計を見れば、ざっと3時間半過ぎが経過しており、ヘッドフォンを外すと小さいが声が聞こえてきた。

どうやら皆さんが集まり始めているらしい。
こうしちゃいられん、と私はデータをしっかり保存したあと思うように動かない身体に鞭を打ち部屋から退室。
……このしんどさ、ダンスレッスン後の筋肉痛と並べるぞ。

壁に手を付きながらリビングのドアノブを捻ると、エプロンをしてローストチキンを運んでいたRiKuが気付いて、近寄ってきた。

「もう終わったの？早いわね！」
『もう二度とやらない……』
「えぇーっ？」

えぇー？じゃねぇわ馬鹿野郎。と、心の中でRiKuに文句を言言わせてもらう。
編集済みのノートパソコンを抱えたままリビングの奥に進むと、既に来ていた皆さんがこちらを向いた。
今ひどい顔してると思うから切実に見ないで頂きたい。

なるべくこちらからは見ないように、ノートパソコンで壁を作って歩いていると、不意に肩を掴まれる。

「すいみぃ眼鏡やん！可愛ええな！」
『……サンタ姿似合ってますね、坂田さん』

「そーお？」と言いながら私の目の前でくるりと一回転する坂田さん。ご丁寧に髭までつけている。値札がついてるのは言わないでおこう。

それより、眼鏡付けっぱだったのか。
まったく気づかなかったよ。
言われてから気づき、通りで視界が狭いかと思った。

「なんだ、似合ってんのに外すのか？」
「可愛いのに勿体ないですよ」
「そのままずっと付けてもええのに」

ノートパソコンを脇にはさみ眼鏡を外そうと手をかければ、坂田さんを抜かした3人から反論の声が上がった。

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