あかい秘密をなぞる指先【はたけカカシ】 (ページ3)

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「はたけくんって来週卒業試験受けるんだっけ」

　いつものように修行に付き合わされ体中バキバキになった体を夕暮れに向けた時。そういえば、はたけカカシは溢れんばかりの才能が起因して火影様に卒業試験を推奨されたと小耳に挟んだことを思い出した。まあ、はたけくんはどこにいっても順応しそうだなあと思う反面、この補講がなくなる嬉しさ反面。

「……だったら何」
「何って言われても特に何もないけど」

　オレが卒業しても授業サボるなよ。少し躊躇いがちにそう言い放ったぶっきらぼうな優しさにわたしはなんと返したか。

「はたけくんはさ、」

　ゆっくりとまぶたを落とす。脳裏には何も浮かんでこない。

「──この世は、何色でできていると思う？」
「……は？」

　あか、しろ、だいだいいろ、むらさき。
　この世はほんとうにさまざまな色でできている。
　──とある学者はこう説いた。
　“この世の色は黒と白の境界色しか存在せず、我々が認知している『色』とはつまり人間の偶像にすぎないのだ”と。
　わたしはその言葉を目にした時不思議と胸にすんなりと落ちた。

「はやく、戦争がなくなるといいね」
「……ああ」

　この世に起きている災が、わたしたちが錯覚している『色』みたいに、幻だったらよかったのに。なんて発言したら忍者志望失格かな。